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ゴーン広報戦略担う「女王蜂」

Japan In-depth / 2020年1月12日 18時12分

特に有名なのは、世界で有数の資産家であるラクシュミー・ミッタル氏をフランスの億万長者でビジネスマンであるフランソワ・ピノー 氏に引き合わせるなどし、有力者とのコミュニケーションと広報を支援し、2006年には無事アルセロール・ミッタル社を作り上げるのにも貢献したことだろう。


ちなみに、ラクシュミー・ミッタル氏が、日本円にして75億円相当を費やし娘の結婚式をヴェルサイユ宮殿を借りて行ったことは逸話にもなっているが、その結婚式の企画にもアンヌ・メオ氏の影が見え隠れする。


フランス産業の影の立役者として活躍したのち、2017年に政治の世界に戻る。当時、大統領選の共和党候補フランソワ・フィヨン元首相の家族が議員秘書として不正に給与を受給していたとの疑惑が持ち上がったのだ。


フランスの新聞ル・カナール・アンシェネは、ペネロピ夫人が、フィヨン氏とその後任の議員秘書として数年間にわたり83万1400ユーロ(約1億円)の報酬を受け取っていたものの、議会への入館証を持っていなかったと報じた。このメディアからの暴風のような追及をフィヨン氏が乗り越えることを望んだアンヌ・メオ氏は、絶対的な信頼の下、フィヨン氏のために働いたという。


このように、関係者を引き合わせるなどのコミュニケーションや、意思を明白に、大々的に伝える広報の仕事を通して、フランスの政界、産業界に幅広くかかわり続けてきた人物なのである。


そんな「女王蜂」と呼ばれるフランスで強力な力を持つアンヌ・メオ氏を、ゴーン被告が知らないはずがない。逮捕後、真っ先に契約したのがの広報会社「イマージュ7」であった。



▲写真 カルロス・ゴーン被告 出典:Photo by Thesupermat


「イマージュ7」を率いるアンヌ・メオ氏の戦略の一つなのだろう、フランスの弁護士、およびキャロル夫人が頻繁にメディアに登場し、彼らの主張を広めていった。結果、現在、控えめに言って「日本はとても厳しい国」、もしくはゴーン被告がキャロル夫人とも会えないという、信じられないほど「人権が尊重されていない国」と言うすり込みが、フランス、および海外のよく日本を知らない人たちの間に広く浸透したことは間違いない。


そして、ゴーン被告の一連の逃亡劇は素晴らしいものだった。昨年の12月31日、逃亡後、安全を確保すると、アメリカの広報担当からゴーン被告の「私はレバノンにいる」との声明が発表された。会見前には、事前にフランスの弁護士から声明が出され、日本の政府関係者を含めた人物名の公表、および、証拠の提示が行われると大々的に宣伝。メディアでは嘘とも本当ともわからない、英雄の脱出劇のイメージが流された。


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