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ゴーン広報戦略担う「女王蜂」

Japan In-depth / 2020年1月12日 18時12分

そんな渦中で行われた会見はまさに注目の的になり、世界中から多くの記者が集まり、ゴーン被告を知らない人たちにまでゴーン被告に興味を持たせることにも成功したのだ。


しかし、あまり成功していない点もある。キャロル夫人が次々とメディアに出ていたため、ゴーン被告が逃亡した時に、真っ先に逃亡計画をたてたと疑われたのがキャロル夫人となった。また、キャロル夫人が「フランス政府は何も動いてくれない」というような内容を繰り返すことに、政府側はあまりよく思っていなかったようだ。その状況をアンヌ・メオ氏も察したのか、会見前に既に、ゴーン被告自身が逃亡には家族が関与していないことを主張、また会見では、フランス政府に信頼を置いていることが強調され、その負の印象の払拭をはかっているのが印象的だった。


しかも会見前の弁護士の言葉とは裏腹に、会見でゴーン被告が、レバノン政府を考慮して政府関係者の名前があげられることもなく、フランス政府、日本政府をけなすことがなかったのも、アンヌ・メオ氏の助言から来ているのだろうと思われる。その点をしっかり押さえたことは賢明であっただろう。


会見の内容自体は、感情論も多く、説得力に関しては日本やフランスでは意見が2分しており、現在、挽回が試みられている状態と言えるだろう。


そう、ここまで言えばおわかりだろう。現在、日本が足りないものは、勤勉さや正確さでも、完璧な司法でもない。まさに、アンヌ・メオ氏のような、広い人脈を持ち、大胆なメディア戦略ができる人物の存在ではないだろうか。各業界や政府、各分野の人々の間でコミュニケーションを取りつつ、適切な広報を行う存在である。


それでも、今回は、異例ながらも、各部署個別にではあるがかなり日本側も健闘した。その結果、森法務大臣の言葉は世界にながれ、フランスの新聞 Le parisienでは、ゴーン被告が攻撃している内容と、森法務大臣および専門家の言葉を引用し、特定の誰かの主観によってゆがめられていない日本の主張が同時に書かれた記事が出された。


これだけを見ても、公の立ち場の人がどんどん発言していくことの重要性が理解できる。例え一部に言葉の間違いがあっても、さらりとかわして修正していけばいい。それこそ、アンヌ・メオ氏の助言の元であろうと思うが、ゴーン被告がやっていることだ。


言わなければ何も伝わらない。アンヌ・メオ氏の活動を見てもわかるように、世界ではそんな広報戦争が普通に行われている。今回を異例とせず、今後も何が起こっても、海外に向かって主張、反論を続けていくことはとても重要だ。ぜひ、今回の騒動から教訓を得て、その他の問題に対しても積極的に主張していって欲しいと切に願う。


トップ写真:アンヌ・メオ氏 出典:イマージュ7


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