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反政府デモ拡大・左翼結集【2020年を占う・中南米】

Japan In-depth / 2020年1月17日 18時32分

 


■ 左派「プエブラ・グループ」、ベネズエラ情勢に影響も


2020年の中南米政治でもう一つ注目すべき点は、左派勢力再結集の動き。その中心となりそうなのはメキシコとアルゼンチンだ。2006年以来、ボリビアの政権を握ってきたモラレス氏が4期目に向けた大統領選をめぐる不正疑惑から2019年11月大統領を辞任しメキシコに亡命、その後最終的にアルゼンチンに亡命したニュースはまだ記憶に新しい。中南米の主要メディアがこぞって「重要な出来事」と指摘するのはメキシコの“変身”ぶりである。ロペスオブラドール政権は2018年12月発足以来、内政最優先をモットーとし、外交面では消極的な姿勢が目立った。ところが、今回のボリビアの政変に関してはいち早く「クーデター」「モラレス氏がボリビア唯一の合法的な大統領」などと表明、モラレス氏の亡命受け入れを積極的に申し出た。メキシコの外交姿勢の変化はこれ以前に既に現れていたとみていい。2019年7月、メキシコのプエブラ市でメキシコのほか、アルゼンチン、ブラジルなど中南米10カ国の左派ないし進歩派の政治指導者が参加して「プエブラ・グループ」が結成された。「中南米における右派勢力の伸長を抑え込み、左派勢力の復権を目指す動き」(メキシコ有力紙)との見方が有力。ベネズエラ民主化を目的に中道右派政権を中心に結成された「リマ・グループ」に対抗する新グループの発足である。この新グループの第2回会合が同11月、ブエノスアイレスで開催された。同会合にはアルゼンチン新大統領就任直前だったフェルナンデス氏に加え、12カ国から32人の有力政治家が参加し、第1回会合からさらに勢いを増した。メンバーにはボリビアのモラレス前大統領、ブラジルのルセフ元大統領など各国で左派政権を担ったリーダーが名を連ねる。「メキシコとアルゼンチンが中心となって中南米の左派勢力復権に向け動きだす」(在メキシコ外交筋)との観測が流れる。「プエブラ・グループ」の動向次第では、膠着状態が続くベネズエラ情勢に影響を与える可能性も出てくる。「リマ・グループ」では、中心的存在だったペルーが大統領による議会解散や2019年1月の国会議員選挙など内政の不透明化で外交面の影響力が低下する中、「プエブラ・グループ」が勢いづけばマドゥロ・ベネズエラ大統領の独裁的体制の存続を助長するかもしれない。


 


■ “バラマキ”復活なら危機深刻化―アルゼンチン


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