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反政府デモ拡大・左翼結集【2020年を占う・中南米】

Japan In-depth / 2020年1月17日 18時32分

「プエブラ・グループ」の動きとも絡んで注目されるのは、2019年12月に発足したばかりのアルゼンチンのフェルナンデス新政権の行方だ。アルゼンチンでは中道右派のマクリ前政権下で各種補助金の撤廃など財政健全化が進められたが、同国通貨ペソ暴落に伴う経済困難に見舞われた。国際通貨基金(IMF)の大型融資で再建が図られたものの、インフレ高騰や失業増大など景気が一層低迷した。国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)の最新報告によれば、2019年のアルゼンチンの経済成長率はマイナス3.0%、20年もマイナス1.3%と見込まれる。一方、公的対外債務は3,300億ドルを超え、対GDP比で80%を上回り、“危険水準”を超えた。新政権にとって財政再建とともに対外債務交渉、とりわけIMFとの交渉が最重要課題となるが、フェルナンデス大統領は就任演説で「経済回復を達成するまで債務は払わない」と表明。国際金融界から強い懸念の声が上がる。さらに大統領の演説では財源が明示されずに低所得者支援の拡大方針が強調されるなど、左派ポピュリズム(大衆迎合主義)的傾向が目立つ点も見逃せない。新政権には、かつて在任中の国家介入型経済の下、“バラマキ”政策で財政破綻を引き起こしたフェルナンデス・キルチネル氏が副大統領として控える。ブエノスアイレスの現地メディアの間では「彼女は大統領より影響力がある」というのが定説。



▲写真 フェルナンデス・キルチネル副大統領 出典:Casa Rosada Presidencia


新政権が今後、“バラマキ”財政と保護主義に逆戻りし、一層深刻な経済危機に陥るリスクも取りざたされている。「アルゼンチンの9回目のデフォルト(債務不履行)」がうわさされるのはこのためだ。アルゼンチンが内政面で行き詰まれば、中南米の左派勢力再結集の動きが鈍るだけでなく、ベネズエラ情勢を含めこの地域全体の政治潮流にも影響が及ぶことになろう。


トップ写真:チリ、サンティアゴで起きたデモの様子(2019)出典:Wikimedia Commons:Carlos Figueroa


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