環境先進国日本脱石炭見通せず
Japan In-depth / 2020年1月19日 0時52分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・原発停止などで石炭火力進めざるを得ない日本に再び“化石賞”。
・石炭火力維持派の声が強く、小泉環境相も国内調整できず。
・フロン削減やCO2削減技術開発なければ環境後進国の汚名拡大。
90年代後半、環境先進国を目指していた日本は、最近“脱石炭”の展望を見出せず世界から批判を浴びている。化石燃料(石炭など)の使用は、国際社会が進めようとしているCO2(二酸化炭素)削減に逆行し、温室効果ガスを増やして気象災害などが頻発する危険を大きくさせるからだ。
国際的な脱炭素社会を目指す環境NGO(非政府組織)の国際ネットワーク・気候行動ネットワークから日本はこれまで二度にわたり温暖化対策に後向きと認定され、不名誉な“化石賞”が贈られている。
▲写真 マドリードでのCOP25で日本が不名誉な“化石賞”を受賞(2019年12月3日)出典: Climate Action Network Japan(CAN-Japan) ホームページ
石炭火力は化石燃料の中でも特にCO2を多く出し、グテーレス国連事務総長が石炭火力の段階的廃止を求めているエネルギー源だ。このため、2015年にパリで開かれた国連気候変動枠組条約(パリ協定)の第21回、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)は2020年からの地球温暖化対策の国際ルールを決めた。その内容は産業革命前からの気候上昇を2度未満、可能なら1.5度未満に抑えることを目指すとしている。
一日のうちで温度が5度も10度も変わる日常の中で、2020年からの温暖化対策で産業革命前からの気温上昇を1.5度~2度未満に抑えることにどんな意味を持つのか、という疑問も出てこよう。ただ、もしお風呂に入る時の温度が40度以下だった場合は、1度上昇しても何とかガマンして入浴できるだろう。しかし、湯の温度が42度を越し、そこから2度も上がったらとても熱くて普通の人なら入浴できまい。
そのことから応用して考えると、気候変動で限界近くまで温暖化している上、さらに地球の温度が将来2度も上がったら酷暑で人々の生活は苦しくなり、生態系にも大きな変化をもたらし地球に異変を起こしかねないと懸念されているのだ。よくいわれることは、例えば北極や南極の氷が溶け出し、海水温や海水そのものが上昇し予測し難い大きな影響を及ぼしてくることだ。
この記事に関連するニュース
-
日本生協連、全国生協と脱炭素社会の実現に向け温室効果ガス排出削減について目標を引き上げ
PR TIMES / 2024年9月18日 17時15分
-
気候変動対策資金巡る米中協議進展=米特使
ロイター / 2024年9月7日 2時45分
-
そもそも「パリ協定」って何?...知っておきたい、世界共通の「2度目標」と「1.5度目標」
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月4日 11時10分
-
TOPPAN グループの温室効果ガス排出削減目標がSBT「ネットゼロ目標」認定を新たに取得
PR TIMES / 2024年8月30日 11時45分
-
EU、温暖化ガス規制と航空機の「グリーン」表示巡り訴訟に直面
ロイター / 2024年8月28日 11時10分
ランキング
-
1「復興もゼロに」「なぜ能登だけ」 大雨で再び被災、おえつする人も
毎日新聞 / 2024年9月21日 19時7分
-
2「裏切られた」 国の控訴方針に原告ら落胆 長崎・被爆体験者訴訟
毎日新聞 / 2024年9月21日 20時51分
-
3浸水想定区域に建てられた仮設住宅が被害 「言葉にならない」
毎日新聞 / 2024年9月21日 17時38分
-
4大雨の輪島「流木でひどい状態」 複数の不明者情報、被災者らも避難進める
産経ニュース / 2024年9月21日 15時24分
-
5能登大雨で仮設住宅8か所浸水、市立病院で下水道が使用不能…白米千枚田が一部崩落「本当にひどい」
読売新聞 / 2024年9月21日 23時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください