トランプ弾劾 無罪判決へ 証人も証拠提出もなし
Japan In-depth / 2020年2月2日 8時22分
大原ケイ(英語版権エージェント)
「アメリカ本音通信」
【まとめ】
・証人召喚も証拠文書提出もない、おかしな弾劾裁判が続いている。
・近刊でトランプ不利の爆弾証言とリークされたボルトン召喚もなし。
・共和党議員は腰砕け、首席裁判官は後ろ向き。トランプ弾劾は無罪へ。
米上院での弾劾裁判はどうやら証人を1人も呼ばず、証拠も何ら提出されないまま無罪判決が下りそうだ。
冒頭陳述では民主党議員がウクライナ疑惑について経過を説明した。下院ですでに決定済みだったウクライナへの4億ドルの軍事支援と、支援表明のためにゼレンスキー大統領をホワイトハウスに招待するはずだった予定を交換条件に、大統領再選へのライバルと目されているジョー・バイデンの息子が同国で汚職に関わっているかどうかを調査すると発表しろ、というものだった。
裁判が始まってから、トランプ大統領の私設顧問弁護士としてこの交換条件の交渉役だったルドルフ・ジュリアーニの補佐役、レブ・パーナス(選挙資金法違反の罪に問われて起訴)がテレビに出まくって、ウクライナとの交渉は大統領の命令によるものであり、ジュリアーニだけでなく、マイク・ペンス副大統領、ビル・バー司法長官、マイク・ポンペオ国務長官、ミック・ムリベイニー首席補佐官代行らもこのことを承知していたとぶちまけた。つまり、下院の訴追調査委員会でゴードン・ソンドランド駐EU大使の証言と一致するもので、メールアプリでの指示や、トランプが同室している会議を録音したテープも公開した。
これに対しトランプ大統領や共和党議員は、パーナスが裁判中の被告の身で発言に信用性がないとか、挙げ句の果てにはマイケル・コーヘン弁護士が起訴された時と同じく、「一緒に写っている写真はあるが、彼のことはよく知らない」とトカゲの尻尾切りのごとく逃げた。
上院の弾劾裁判ではまず、検察側となった民主党の議員が冒頭陳述でトランプが大統領の地位を私的に利用し、このままでは今秋の選挙でもロシアの介入を許し民主国家の危機だと訴えた。特に検察役を務めたアダム・シフ議員のスピーチはアメリカ国民に訴える名演説だったと言えるだろう。
▲写真 アダム・シフ米民主党下院議員
出典: 米下院議会ホームページ
一方の弁護団は、すでにアメリカのすべての諜報機関により「デマである」と判断されている「選挙介入はウクライナ説」を唱えたほか、弾劾されるべきはオバマ大統領であるだの、トランプが権力の悪用をしたといっても、連邦法で有罪となる具体的は罪は犯していないだの、またそれを犯していたとしても大統領の意図はすなわち国家の外交対策であり、なんら問題はないなどと、それぞれが、微妙に相反する主張をして終わった。
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