中国情報隠しで新型肺炎拡散
Japan In-depth / 2020年2月2日 18時0分
同記事の筆者は国際関係の専門家でジョンズホプキンス高等国際関係大学院の元学長ポール・ウォルフォウィッツ氏とワシントンの大手研究機関AEIの上級研究員マックス・フロスト氏である。ウォルフォウィッツ氏は先代ブッシュ政権で国防副長官を務めた共和党保守派の重鎮政治家でもある。
同オピニオン記事は今回の新型ウイルス肺炎がこれほど急速に広まった原因は中国共産党の習近平独裁政権が「中国国民の福祉よりも社会の管理を重視する」ためにこの新型の伝染病の発生と拡散についての情報を開示しなかったことが大きい、と批判していた。
▲写真 武漢市を走る公共バス 出典:wikimedia commons: Wuchernchau
同記事は伝染病に関する情報が隠されることがいかに危険かの実例として第一次世界大戦中の1918年から19年にかけて世界中で大流行した狂暴インフルエンザの「スペイン風邪」について報告していた。
この「スペイン風邪」では全世界で感染が約5億人、死亡が約5000万人に達したが、その大流行の主要因は戦争を遂行していた各国がこぞってその病気の情報を秘密にしたことにあったとされた。
確かに今回の新型ウイルスによる肺炎も中国内部では昨年12月8日ごろに武漢での感染者のケースが非公式のネットで最初に伝えられたものの、当局は秘密にして、中国の官営メディアが初めて報道したのが今年1月9日だった。
習近平国家主席が新型コロナウイルスによる肺炎で初めて指示を出したのは1月20日だった。習主席はこのとき、「断固としてウイルスの蔓延を阻止するように」と命令し、情報の即時公開などを指示した。病気の最初の発生から40日以上が過ぎていたわけだ。
ウォルフォウィッツ氏らの記事はこうした経緯を踏まえて、以下のような骨子を述べていた。
・中国では政府や共産党から独立したメディアは存在しないため、今回の大事件も当局の意思で秘密にされ、地元の武漢の官営新聞がこの肺炎について報道したのは実際の発生が起きてから3週間以上も後だった。
・病気の発生が明らかになった後の1月10日にも、当局の意向を受けた“医療専門家”が国営テレビで「この病気はもう防止された」とか「その症状は軽い」という根拠のない楽観論を語っていた。
・現実にはこの新型ウイルス肺炎は100万人単位の住民が再教育収容所に入れられている新疆ウイグル自治区にも広まった。また同様に中国政府が世界保健機構(WHO)への加盟を阻む相手の台湾でもすでに患者が出始めたのだ。
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