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石油無しでプラスチック作れる

Japan In-depth / 2020年2月6日 18時0分

 


天然ガス樹脂は石油樹脂を駆逐する。


 


その最初の理由は原材料価格の有利である。天然ガスは石油より安い。つまりエチレン製造コストを大きく引き下げられる。


 


天然ガスは同重量の石油の1/7程度の価格でしかない。最近の原油価格は1バレル55ドルである。対して米国産天然ガス価格は百万BTUあたり2ドルでしかない。1バレルは3.82百万BTUに相当する。そのため価格差は7.2倍となる。


 


そしてこれは市況が変化しても変わらない。これまで天然ガス価格は常に原油価格よりも安価であった。原油価格が150ドルに達しても天然ガスは同重量で40ドルであり同熱量で60ドルにとどまった。


 


原材料の段階で天然ガス樹脂は圧倒的に安くなるのである。


 


 


■ 製造効率の有利


 


また製造効率でも天然ガス製法は有利に立つ。


 


エチレンをだけを狙い撃ちで作れるからだ。材料はエタン分子のみと揃えられている。また分子量から熱分解してもエチレン、メタン、水素にしかできない。つまり熱分解操作を適切にすれば概ねエチレンだけが作れる。無駄がない。


 


対して石油製法では副産物も大量に生成される。大本のナフサの分子量もやや大きいので多種多様な炭化水素の組み合わせが生まれる。


 


これは原理的に回避できない。ナフサ分解では工夫をしても限界がある。特定分子の生成確率をあまり高くできない。


 


そのため製造の効率やコストも大差がつく。例えば天然ガス樹脂のプロセス・コストは石油製法の半分といった数字もある。(*1) 当然ながら石油樹脂は天然ガス樹脂に太刀打ちできないのだ。


 


■ 輸送コストの改善


 


そして天然ガス樹脂製造では輸送効率改善のメリットも伴う。


 


天然ガスは輸送コストが高くつく。大量輸送にはパイプライン敷設か液化しかない。そしてどちらも大規模高額な設備が必要となる。


 


ただし、これは山元での樹脂製造である程度改善する。



写真)建設中のシェル社エタンクラッカー。山元にあたるペンシルバニアで建設中であるため世界で一番安いエチレンを製造可能


出典)WIKIMEDIA:Drums600 (CC BY-SA 4.0)


 


まず、原料となるエタン相当分の輸送コストが節約できる。最終製品の樹脂ペレットとすれば輸送コストは劇的に下げられる。バラ積み船でも粒体コンテナでも袋詰でも運べる上、粒体ポンプで取り扱えるようになる。


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