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石油無しでプラスチック作れる

Japan In-depth / 2020年2月6日 18時0分

 


また、天然ガスの輸送コストも抑えられる。ガスからエタン分を除去され純メタンとなるのでガス輸送量を小さくできる。単価はともかく数量が減る。


 


さらには川下でのLNG製造も安くなる。エタンごと冷やす無駄も省けるのだ。


 


この節約効果は6〜26%にも至ると見積もられている。山元でのエタン利用とガス組成からの除去により天然ガス産業のコストは相当に安くなる。(*2)


 


そのため天然ガス業界は山元での樹脂生産を選択する。今後は最安価な樹脂ペレットが大量出現するのだ。


 


これも価格競争力がない石油樹脂生産を圧迫するのである。



写真)一度工場でコンテナに詰めればそのまま購入者まで届く、もっとも安価なライナーバックによる汎用型の海上コンテナ輸送


出典)Cefic:欧州化学工業連盟ののPDFファイルより


 


■ 国産樹脂生産は終わる


 


天然ガス樹脂は石油樹脂を駆逐する。以上がその理由である。


 


なお、その動きはすでに始まっている。


 


エタン・クラッカーは本格生産を始めている。2010年代前半から米国ほか天然ガス産出国で多数が建設されており商業運転の段階にある。


 


呼応するようにナフサ・クラッカーは稼働をやめている。日本国内でも2014年から各社は1つから2つのプラントを停止させた。



写真)テキサスで建設中のエクソン社エタンクラッカー


出典)エクソン社TWITTER (2018年2月10日)


 


いずれは国産エチレン生産はなくなる。原油樹脂の生産は早晩に終わる。(*3) だが国産天然ガス樹脂の生産は始まらない。天然ガスは日本では液化費用や専用船コストで高めになる。つまり樹脂を生産しても価格競争力を持ち得ない。「それなら産出国でのプラント建設に投資したほうがよい」となるからだ。


 


 


(*1) 「これまで好調だった石油化学産業の最新動向 : 本格的なシェール・ガスを原料としたエチレン輸出」『オイル・リポート』1885(2019.4.3)pp.4-9.


 


(*2) Holland,Bill"Appalachia Gaining NGL Manufacturing advantage over Texas,study says" SML Energy Daily Gas Report 22 Mar 2019.


 


(*3) 一部は残るかもしれない。使い勝手に困る合成軽質ナフサの分解用、または軽質コールタールや廃プラスチック、バイオマスから比較的重質な素材原料生産のためである。


 


トップ写真)樹脂ペレット


出典)wikimedia: gentlemanrook (CC BY 2.0)


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