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春闘、働き方改革と格差是正が焦点

Japan In-depth / 2020年2月14日 16時1分

春闘、働き方改革と格差是正が焦点


八木澤徹(日刊工業新聞 編集委員兼論説委員)


【まとめ】


・2020年春闘、働き方改革と格差是正が焦点。


・自動車では総額要求で「脱ベア」の流れ。


・正社員のみならず、非正規社員の底上げ等、今年の春闘は様変わり。


 


2020年春闘がスタートした。今年の春闘は賃上げだけでなく4月から導入される「同一労働同一賃金」に向けた働き方改革や正社員と非正規労働者との格差是正も大きな焦点となる。自動車、電機など主要労組は2月に経営側に要求を提出、交渉のヤマ場は3月の第2週。新型コロナウイルスの影響が懸念される中、集中回答日は3月11日となる。


連合は今春闘で大企業と中小企業の規模間、正社員・非正規社員など雇用形態での格差是正を前面に押し出す。ベースアップ(ベア)要求は「2%程度」を基準とし、定期昇給分2%を含めた賃上げ率の目標は4%と5年連続で同水準となる。


この方針を受け、春闘相場を形成する自動車、電機などメーカー系産業別労組で構成する金属労協(JCM)は「ベア3000円以上」を要求するよう構成組織に指示した。電機連合はこの水準を統一要求としたが、自動車メーカーなどの労働組合で構成する自動車総連は、トヨタ自動車労働組合の妥結ベア額非公開の影響から19年春闘から統一ベア要求額を示せていない。


トヨタ労組は今年もベア要求額を示さず、定昇分や手当を含めた総額で要求、月額1万100円の賃上げを求めたが前年の妥結額である1万700円よりも低い額だ。この要求方法に今年はスバルも追従、日産自動車も総額要求に切り替えるなど自動車では「脱ベア」の流れが進む。


日立製作所の経営トップでもある経団連の中西宏明会長は「業種横並びの集団的賃金交渉は実態に合わなくなっている」とし、横並び交渉や従業員一律の賃上げに疑問を投げかけ、「新卒一括採用」や「終身雇用」「年功型賃金」など戦後確立した日本型雇用の見直しの可能性にも踏み込んでいる。


経団連は今年の春闘で年功賃金だけでなく、能力や業績評価で賃金が決まる「ジョブ型」賃金を導入するよう求めている。日立やトヨタなど世界で戦うグローバル企業は国籍に関係なく優秀な若手人材を確保する必要性が増しているからだ。


この問題への意識は労組側にも芽生えている。トヨタ労組はベアの配分の見直しにも踏み込んだ。人事評価に応じて賃上げ額の差を広げる案を組合員に提示したのがその表れだ。


一方、連合の神津里季生会長は、「非正規雇用の拡大や大企業と中小との賃金格差など、ここ20年で生じた問題がさらに拡大する恐れがある」と大企業が集まる経団連が主張する日本型雇用の見直しには慎重だ。


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