財政制度分科会、防衛省調達の問題点指摘
Japan In-depth / 2020年2月14日 23時0分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
財務省財政制度分科会は防衛省調達の問題点を指摘。
調達数、調達期間、総予算を示し、国会の承認受けるべき。
納税者が防衛装備の問題点を知ることができないという情報開示の欠如。
財務省の財政制度分科会(平成30年10月24日開催)において防衛予算、特に次期中期防衛力製計画に向けた装備調達について討議された。その資料を財務省がHPで公開している。
この資料の指摘する問題点と、その解説を行う。
「現中期防においては、各年度の予算編成を通じた歳出額の総額が記載されているが、新規後年度負担額については記載がない。また、装備品の数量は記載されているが、その単価については明らかとなっていない。」(P9)
資料ではこの後にも装備品の単価を明快し、かつ低減せよと指摘している。
「現中期防期間中、それ以前と比較して、長期契約に基づく装備品のまとめ買いなどにより、新規後年度負担額が大きく増加。この結果、予算の硬直化を招くとともに、平準化されない形で歳出規模の増大を招きかねない状況。防衛関係費を適切にマネジメントするためには、次期中期防においても、新規後年度負担に一定の歯止めをかけていく必要があるのではないか」(P10)
図)新規後年度負担額の推移
出典)財務省
これまで防衛省は調達コスト削減ために「まとめ買い」を行い、それを財務省も認めてきた。だがそれがあまり機能していない。つまり、調達単価や維持費用が思ったほど下がらず、単に「リボ払い」を増やして、後年の防衛予算編成を硬直化させているという指摘だ。義務的な支出が増え自由に使える予算が減っている。故に調達単価を厳しく管理しろと主張している。そして後年度負担を減らすことを求めている。
「26中期防策定時の計画単価と実績を比較すると、多くの装備品において単価が上昇。次期中期防においては、国民に対する説明責任の観点からも、計画単価を明示した上で、ライフサイクルを通じたプロジェクト管理等を通じてこれを遵守するとともに、企業側のコスト削減努力を促し価格低減を図っていくべきではないか。その際、単価が上昇する場合は、優先順位に従った調達数量のスクラップ&ビルドを徹底するべきではないか」(P11)
筆者は繰り返し指摘しているが他国同様に本来防衛装備は構想段階でコンセプト、調達装備に加えて調達数、調達期間、総予算を示し、国会の承認を受けるべきである。
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