曲がり角に来たコンビニ業界
Japan In-depth / 2020年2月17日 23時7分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・生活インフラのコンビニが昨年末、減少に転じた。人口減少に伴い頭打ちに。
・人手不足、人件費、長時間労働、食料廃棄、利益配分のあり方など課題山積。
・コンビニは曲がり角に。次の時代の小売り、流通・販売形態を模索へ。
生活に欠かせないインフラとして成長、発展してきたコンビニが、昨年末に初めて店舗が減少に転じた。少子高齢化、人口減少の進行とともにコンビニの出店も頭打ちとなってきたのだ。コンビニが登場してから50年近くになり、街の風景や人々のライフスタイルまで変えてきたコンビニ業界の先にはどんな買い物スタイルが待っているのだろうか。
コンビニは、セブンイレブン・ジャパンが1974年に東京都内で第一号店を開業した後、ローソン、ファミリーマートなど小売大手が次々に参入し、現在は主要7社が全国で5万5620店を展開している。コンビニ以前の新しい小売り業態は1950年代に登場したスーパーマーケットだった。客が自ら商品を選びレジで料金を支払う買い物のスタイルで、アメリカから導入された。それまでの日本の買い物は、八百屋、魚屋、肉屋、牛乳屋、日用雑貨などを扱う文房具店などが個別に店を構え、それぞれの店で商品を購入していた。
しかしスーパーとコンビニが登場すると、街の風景は大きく変わっていった。スーパーに行けば食料品だけでなく衣料、電気器具、日用品などを一ヵ所で買い求められるようになったし、コンビニでは住宅地域に24時間営業、公共料金や宅配便のサービスまで行うようになり、生活のインフラとして欠かせない存在になった。また、日用雑貨だけでなく夕食のおかずや弁当まで買える上、個人オーナーによる24時間営業が原則的に義務付けられているため、人々の生活形態を大きく変える作用や防犯の一助となっている。
▲写真 コンビニの店舗内。コンビニは生活インフラとして不可欠なものに。 出典: flickr; Dick Thomas Johnson
■ 4ヵ月連続店舗数が減少
特にコンビニの商圏は一店舗あたり3000人の人口といわれ、小さな町村でも個人商店主が本社から商品を供給してもらえば簡単に店を開くことができたので急速に成長していった。日本フランチャイズチェーン協会の統計によると2005年のコンビニ店舗数は3万9966店だったが、2018年末には5万5743店まで増えている。出店を増やせば売り上げは確実に伸びていたから大手各社はオーナーを募り出店競争を行なっていたのである。しかし19年2月の5万5979店をピークに19年9月以降、閉店数が出店数を上回り前月に比べ4ヵ月連続で店舗数が減少、出店を増やして売り上げを伸ばすビジネスモデルは限界に来たのではないかと指摘され始めた。
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