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英国民と女王のトラウマ(下)何が違う?日本の皇室と英の王室 その3

Japan In-depth / 2020年2月23日 22時50分

結局、様々な理由で処刑はもとより戦犯としての訴追も見送られたが、せめて退位させるべきではないか、との議論はその後もくすぶっていた。ところがGHQにとっては、これもこれで難題だったのである。


占領軍の中核は米軍で、法務幕僚たちは皆、米国の大学で法律を学んでいる。中には法学博士もいて、よく知られる通り、彼らが日本国憲法の草案を書くことになるのだが、そもそも王者の退位とはどのような手続きで行われ、法理論上どのように理解すればよいのか、彼らアメリカン・デモクラシーの徒には、まったくもって未知の領域であったのである。


そこで、上流階級出身者が多い英軍の将校を呼んで「王冠を捨てた恋」についてのヒヤリングを行ったが、結局よく分からなかったようだ。


平成から令和への移行が進む時期、私は日本国憲法の天皇条項に退位の規定がないことを指摘し、野党時代に「天皇を元首とする」改憲案を取りまとめたこともある安倍首相が、この議論を曖昧にしたまま改元の祝賀ムードに乗っかるようなら(結果はご承知の通りだが)、この先、声高に憲法改正を唱え続ける資格はない、と述べた。


もとをただせばこういう事だった、となれば、私がどのような問題提起を行ったのか、あらためてご理解いただけたのではあるまいか。


さて、ヘンリー王子とメーガン妃の話である。


これまた前回述べた通り、エドワード8世の「王冠を捨てた恋」は、1936年の話である。当時の英国国教会は、離婚歴のある女性を王妃と認めることはできず、もしも結婚が強行されるなら、戴冠式を拒否する、という態度であった。


これに対してヘンリー王子とメーガン妃との結婚には、まあ反対の声がなかったわけではないが、少なくともロイヤルファミリーはすぐ認めた。国王と皇太子の次男とでは立場が違うが、それ以上に、やはり時代が変わってきたということなのだろう。



▲写真 ヘンリー王子とメーガン妃 出典:wikimedia


しかも、結婚当初は、女王はメーガン妃を「いたくお気に入り」だとの報道まであった。 それが、今次の離脱騒動が起きてから、色々と内情が暴露されてきているが、女王は王族や宮廷スタッフに対し、メーガン妃の言動がたとえ目に余るように思えても、とにかく「最大限、寛大に接するように」と指示していたというのが真相であるという。


その理由までは定かではないが、英国発の情報を私なりに注意深く読み解き、かつ色々と聞いて回った結果、ひとつの心証を得るに至った。どうやらダイアナ元妃の悲劇が、いまだに尾を引いているらしいのである。


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