英国民と女王のトラウマ(下)何が違う?日本の皇室と英の王室 その3
Japan In-depth / 2020年2月23日 22時50分
ダイアナ元妃の悲劇的な結婚生活と、さらに悲劇的なパリでの事故死については、日本でも大きく報道された。私自身も、離婚と死去にかかわる記事を書いたし、その後『女王とプロンセスの英国王室史』(原著ベスト新書・電子版アドレナライズ)という本も出していただいた。手前味噌ながら、英国史の入門書としてもお役に立つと思うので、ご一読いただきたい。
もともとエリザベス2世女王は伝統に対して非常に厳格で、たとえば宮廷での食事会では、銀器(ナイフやフォーク)の並べ方がレストラン的=平民的であることさえ認めないと言われていた。
こうした厳格な伝統主義が、若い(結婚当時19歳)ダイアナを精神的に追い詰めたのではないか、と考えているらしいのである。王室スタッフなどにコネを持つ人たちが言うことなので、おそらくそうした側面はあるのだろうと私も思う。個人的には、長男チャールズ皇太子の不倫問題を棚上げにしての「トラウマ」は、いかがなものかとも思うのだが。
そのダイアナ元妃の忘れ形見が選んだ女性であってみれば、常識外れの衣装代を使おうが、結婚披露宴でゴスペルを歌わせようが、ここは「最大限に寛大に」と言いたくなる気持ちも、分からないではない。これまた悪く言えば、それがメーガン妃をますます増長させたということも、ほとんど疑う余地がないのだが。
英国の王室にせよ日本の皇室にせよ、長い伝統と、それに裏打ちされた独自の価値観を持っている。しかし一方では、時代とともに価値観も変遷してきた。
守るべき価値観と変わるべき価値観との相克こそ、王室と皇室の永遠のテーマなのかも知れない。
(続く)
トップ写真:エリザベス2世女王 (1986年)出典:wikimedia commons
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