新型ウイルス中国研究機関から流出?
Japan In-depth / 2020年2月25日 10時59分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・新型ウイルス、武漢の国立ウイルス研究機関から流出した疑い。
・中国研究の米人学者、NYの新聞に寄稿。
・ウイルスが人間への接触で同実験室から外部に流出した可能性有。
アメリカのベテラン中国研究学者が武漢市で発生した感染症の新型コロナウイルスは同市内にある国立のウイルス研究機関から流出した疑いが濃いという趣旨の論文を2月下旬、米国の新聞に発表した。中国政府はこの説を否定しているが、発生源についての具体的な情報を明らかにしてもいない。
1970年代から中国に頻繁に滞在して、各地方の人口動態や社会状況を研究してきたアメリカ人学者のスティーブン・モシャ―氏はニューヨークの有力新聞「ニューヨーク・ポスト」2月22日付に「異様拡散したコロナウイルスは中国のウイルス実験所から流出した公算が強い」と題する寄稿論文を発表した。
▲写真 スティーブン・モシャー(Steven W. Mosher)氏 出典:opulation Research Institute
同氏はこの論文で今回の新型コロナウイルスは武漢市内にある国立のウイルス研究実験機関の「国立生物安全実験室」(中国語での正式名称は中国科学院武漢国家生物安全実験室)から流出された確率が高い、と強調していた。
国立生物安全実験室は同じ武漢市内にある「中国科学院武漢ウイルス研究所」(中国の公式名称は中国科学院武漢病毒研究所)の付属機関で、ウイルスでも最も危険度の高いレベル4を扱う研究施設とされている。
新型コロナウイルスの流出や拡散についてはモシャ―氏は実験室での研究員が意図せずに衣服などにつけて外部へ流出したか、ウイルス感染の動物を外部に出したという可能性をあげていた。同氏はこの実験室からの流出説の根拠として以下の諸点をあげていた。
●中国政府の科学技術省が2月中旬に「新型コロナウイルスのような高度のウイルスを扱う微生物実験室の生物安全保障の強化に関する指令」を出した。これほど高度のウイルスを扱う研究機関は中国全土でもきわめて少なく、武漢の生物安全実験室はその一つである。
●人民解放軍の高度ウイルス使用の生物戦争の最高権威で細菌学者の陳薇少将が1月に武漢へ派遣された。陳少将は軍内部でこれまでSARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ熱、炭素病はじめコロナウイルスの研究しており、武漢の生物安全実験室との関係が深い。
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