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米で日本を照らした柔道指導

Japan In-depth / 2020年3月7日 10時39分

だが井上氏の指導でその絆が復活した。以来、同ソリダリティーの事業として海軍士官学校には毎年、日本の東海、慶應、国学院、筑波など各大学出身の一流選手たちが送られ、柔道指導にあたってきた。


たとえば東海大学出身のトップ級選手では片渕一真、大川康隆、奥村達郎、熊代佑輔といった強豪たちがそれぞれ2、3週間から2,3ヵ月の期間、ワシントン地区に滞在して、アメリカ海軍士官学校柔道部を指導してきた。女性でも塚田真希、田知本愛という世界級の選手たちが同じように海軍士官学校で練習や指導を重ねてきた。


他の大学の出身者でも筑波大学の金丸雄介、慶應大学の藤井岳、国学院大学の川上智久という、これまた国際級の強豪たちがワシントンから車で40分ほどのアナポリスの海軍士官学校での指導にあたってきた経緯があるのだ。


その伝統ある活動の最新の動きが中矢選手の来訪なのである。同選手は2月24日から同士官学校柔道部を訪れ、毎週3、4回、元気あふれるアメリカ人の男女たちの柔道の質の向上を支援している。



写真)海軍士官学校学生と練習する中矢選手(中央)


提供)筆者


最初の訪問日には海軍士官学校の柔道部員30人ほどの間から有志を募って、まず練習試合をした。中矢選手に対して士官学校側の選手たちが次々に挑戦していくのだ。73キロ級の中矢選手は大学部員たちにくらべて小柄だが、勢いこんで挑んでくる米側選手たちを難なく投げて、8人に勝ったところで小休止となった。米側の男女は中矢選手の鋭利な大外刈、体落、背負投などの鮮やかさに驚嘆していた。



写真)海軍士官学校の柔道部員と練習試合をする中矢選手(中央)


提供)筆者


 


中矢選手はその後の海軍士官学校の練習では改めて基本の投げ技や固め技を解説し、多数の学生たちとの自由な乱取り稽古を続けた。3月4日までの2週間ほどの練習では学生たちは目にみえて、技術の進歩を示していた。



写真)海軍士官学校の柔道部員と練習する中矢選手(中央)


提供)筆者


同校柔道部長のラリー・アンガー教授は「やはり世界級の現役選手の技量のものすごさは学生たちもよく認識して、熱心に学んでいます。これほど高度の日本柔道に接する機会は当方にとっての幸運です」と述べ、中矢選手や「トモダチ作戦への返礼」への感謝を表明していた。


中矢選手は首都ワシントンの中心部にある「ジョージタウン大学ワシントン柔道クラブ」でも指導にあたった。大学柔道部と町道場が合体した形の同クラブはアメリカ東海岸でも最大級の柔道場で、日本との交流も「JUDOs」の前身の「柔道教育ソリダリティー」との間で10数年も続けてきた。


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