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いつ消える?「レイプ文化」

Japan In-depth / 2020年3月10日 18時0分


▲写真 ロマン・ポランスキー氏 出典:Photo by Georges Biard


ポランスキー氏は、俳優ジャック・ニコルソンさんの米ロサンゼルスの自宅で当時13歳の少女をレイプしたことを認めアメリカで1977年に有罪判決を受けた後、保釈中に国外逃亡しフランスへ渡った。


保釈中に逃亡と言えば、レバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が記憶に新しいが、電子的に登録され、確認される現在においても逃亡が可能であったのだから、40年前はもっと容易かったことだろう。そしてこの時代は、未成年であるにもかかわらず有名な男性の犠牲になることを問題視する意識も低かった。それは2002年になっても変わることはなく続いていった。


2002年にポランスキー氏は、『戦場のピアニスト』でアカデミー監督賞を受賞した。このアカデミー授賞式にポランスキー氏は現れなかったが、会場では不在のポランスキーに拍手喝采が起こり、このとき負けたマーティン・スコセッシ監督も、当のレイプ事件の現場となった邸宅の持ち主だったジャック・ニコルソンも、プレゼンターのハリソン・フォードも、女優のメリル・ストリープも、立ち上がって拍手を送ったのだ。タランティーノもこの受賞についての取材で、「クールだと思うよ」と祝福さえした。


確かに、ポランスキー氏は、圧倒的な傑作を生み出した才能ある映画監督であるのは間違いない。ドイツのユダヤ人虐殺を免れた一人であり、そして妻が惨殺されるという凶悪な犯罪の被害者でもある。そして、これらの悲劇は彼の創造の源となり、さらに彼の才能の幅を広げている。


しかしながら、ポランスキー氏は、国際刑事警察機構(インターポール)が国際指名手配されていた明白な犯罪者なのである。しかも複数の未成年者にレイプを行ったという証言が次々とあがってきており、再犯した可能性もあるのだ。


ポランスキー氏の新作『J’accuse(英題An officer and a spy)』が昨年11月13日にフランスで封切りになったときには、フェミニスト団体の抗議行動で上映を中止する映画館が出て、物議を呼んだ。今年に入りフランス映画界最大の賞セザール賞にノミネートされたときには、シアパ副大臣も「ボイコットを呼びかけたり、映画自体を検閲することはないが、レイプで何度も告訴されている男が作った映画に会場全体が立ち上がって拍手することは、性暴力や性差別と闘う女性たちに誤ったメッセージを送る。」と言っている。そして同時に「司法が何か声を上げるべきだ。」と指摘しているのだ。


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