変わる世界の中国を見る視線
Japan In-depth / 2020年3月13日 7時0分
▲写真 マイケル・オースリン氏(2017年6月13日撮影)出典:U.S.Naval War College flickr
習近平主席は対応策としてこんご国内の引き締めを図るだろうが、なお同政権がこの疾患を隠して、当初は明らかに国民の生命よりも社会の支配を優先したことは否定できない。そのことが中国の国民を激怒させ、習政権への信頼を減らしたとなれば、中国という国家自体の弱化になるわけである。
二番目は中国をみる世界の目の変化である。
世界の多くの国は習近平政権が当初、ウイルスの拡大を隠し続けたことを非難した。国際社会のそうした非難は当然、中国の孤立傾向を強めることになる。伝染病の流行までも隠蔽せねばならない独裁政権の異様な体質への国際的な忌避や嫌悪だともいえよう。
そもそも中国はいま全世界を苦しめる武漢コロナウイルスの発生地である。加害者だともいえる。日本もアメリカもそのウイルスから自国民を守るためには中国との絆を断つ動きをとらざるを得ないのだ。いまの中国は全世界の異端なのである。
実際に日本をはじめ多くの諸国が中国からの来訪者を禁止したり、制限するという措置をとった。自国民保護のための自衛の防疫措置だった。だがその結果は中国との交流の縮小となり、中国は世界のなかで孤立に向けて押しやられることとなる。
第二のグローバルゼーションの変化について述べよう。
このウイルス拡散がグローバル化を阻み、縮小させる影響である。
グローバリゼーションとはそもそも国家と国家の間で人、物、カネが国境を越えて、より自由に動く現象を指す。そのグローバル化は貿易の実例でも明らかなように世界全体、さらには人類全体に数えきれない利益をもたらしてきた。だがそのグローバル化にも光と影があった。
ウイルス感染症が中国から他の諸国へと拡大していったのも、ある意味でのグローバル化の産物だった。だから当然、この危険なウイルスの国境を越えての拡散を防ぐためには、国境の壁を高く厳しくする措置が欠かせなくなる。国境を高くすることはグローバル化への逆行である。
そもそも超大国アメリカのトランプ大統領は選挙公約にもはっきりとグローバル化への反対をうたっていた。主権国家の重要性を強調した政治リーダーなのだ。そのアメリカで中国発生のウイルスへの対策として、中国との絆の縮小や遮断を説く声が起きるのも、自然だといえる。
▲写真 雇用の米国回帰に言及したウイルバー・ロス商務長官 出典: US Department of Commerce
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