空自輸送機調達のいい加減さ
Japan In-depth / 2020年3月14日 23時43分
財務省の財政審議会(平成30年10月24日開催)の資料によるとC-2は調達単価が一機あたりのライフ・サイクル・コスト(LCC)はC-2が635億円、C130Jが94億円、C-17が349億円だが、最大ペイロードで割ってみるとC-2は(表では36tとされているが筆者の取材した限り実際は26t程度なので26tで計算する。ジェーンズの年鑑では30tとなっている)、24.42億円、C-130Jが(同様にジェーンズの年鑑によれば約19t)4.94億円、C-17が(同様に77t)4.53億円だ。
▲写真 C-17 出典:著者撮影
C-2のLCCは他の二機種に比べて5.4倍も高いということになる。同様に1機あたりの単価もペイロードのトン数で割ってみると、C-2が8億円、C-130Jが4.47億円、C-17が2.94億円である。
C-2の調達単価はC-130 の1.8倍、C-17の2.7倍とこれまた極めて高いということになる。更に1機あたりの1時間あたりの運用・維持管理コストをペイロードトン数で割ってみるとC-2が10.53万円、C-130Jが3.25万円、C-17 が1.95万円となる。C-2のコストは3.24倍、C-17の5.4倍で、これもまたC-2が飛び抜けて高い。
果たしてこのような極めてコストの高い航空機を国産開発する必要があったか。調達数は当初の計画では30機(+電子戦機など数機)だったがその後25機に減らされ、更にその後22機まで減らされた。そしてC-2は運用コストも高い。ステルス戦闘機であるF-35Aとほぼ同等の運用コストがかかるという。
陸自は有事には16式機動戦闘車や19式自走榴弾砲をC-2で空輸するといっているが、当初の予定の30機ではその余力はない。22機に減らされた現在ならば尚更だ。人員や弾薬、食料、トラックなどの輸送で手一杯だ。そのような空想を元に16式機動戦闘車や19式自走榴弾砲の仕様が決定されている。
またこれらの車輌はC-2に搭載するために不合理な軽量化も行われており、本来必要な性能を損なっている。例えば19式自走榴弾砲は開発時には搭載されていた自衛用の12.7ミリ機銃が撤去されており、弾薬搭載量は諸外国のものよりも少ない、更にNBCシステムも搭載されていない。
しかも今に至っても16式や19式のC-2搭載飛行試験すら行われていない。フィクションに基づく装備開発は税金の無駄でしかない。
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