令和の朝日新聞大研究 2 共産主義を平和勢力に位置づけ
Japan In-depth / 2020年3月16日 11時0分
▲写真 空爆によりイランのソレイマニ司令官を殺害したと発表するトランプ大統領(2020年1月3日 フロリダ州パームビーチ)出典: Official White House Photo by Shealah Craighead
トランプ政権にとって軍事行動を取るための境界線「レッドライン」はアメリカ国民の生命が奪われることである。ソレイマニ司令官殺害もそのアメリカ国民の殺害が理由だったことは朝日新聞のワシントン発の1月5日朝刊の記事で客観的に報じていた。
《米国務省高官も「数百人もの米国民の生命を救うための措置だった」と述べ、殺害はイランへの宣戦布告ではないと強調した。
トランプ政権がこうした姿勢を取る背景には、米国民の多くが戦争に反対し、トランプ氏自身も望んでいないという事情がある。米国では泥沼化したイラク、アフガニスタン戦争の影響で厭戦気分が根強くあり、トランプ氏も前回の大統領選から「バカげた終わりなき戦争を終わらせる時だ」と、米兵の帰還を公約に掲げてきた》
《トランプ大統領は再選を目指す11月の大統領選を控え、その(終戦への)姿勢は強まっている(中略)。だが昨年12月27日に米国民がイラク国内のロケット弾攻撃で殺害されると、トランプ政権は対応を一転させ、空爆を開始》
以上を要約すれば、「トランプ大統領は本来、イラク、イランなどへの軍事介入は大統領選への影響も考えて望んではいないが、今回はイラン側によるアメリカ国民殺害にやむをえず反撃した」という解釈になる。
ところがその同じ朝日新聞は他の記事ではまったく異なる解釈を繰り返し伝えていた。1月4日夕刊のコラム「素粒子」の記述が典型だった。
《またか、権力が選挙を前に対外危機を仕掛け、国民の目を疑惑からそらす。トランプ氏に限らず、よくある手口》
この記述は「トランプ大統領は再選のためにイラクを攻撃した」あるいは「弾劾騒動から国民の目をそらすためだ」という断定である。もし再選のためならば、イラン攻撃がアメリカ国民の多くの支持を得ることが前提だろう。
だがいまのアメリカ国民の多くも、トランプ大統領自身もそんな攻撃は本来、望んでいないのだと、前掲の朝日自身のアメリカ発の記事が詳しく説明しているのだ。
つまり同じ朝日の一方の記事が今回のイラク攻撃は「選挙のため」と書き、他の記事が「選挙のためではない」という趣旨を書いているのである。
一貫性の欠落、つまりは支離滅裂だといえる。
(3につづく。1)
**この連載は月刊雑誌WILLの2020年3月号に掲載された古森義久氏の「朝日新聞という病」という題の論文を一部、加筆、修正した記事です。
トップ写真:朝日新聞社旗(西日本版)出典:Zscout370
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