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新型ウイルス中南米経済直撃

Japan In-depth / 2020年3月16日 13時51分

新型ウイルス中南米経済直撃


山崎真二(時事通信社元外信部長)


【まとめ】


・中南米主要国は貿易面で大きく中国に依存。


・新型ウイルスによる中国経済減速が中南米経済回復に影響。


・チリおよびペルーのGDPは0.3-0.5%低下と予測。


 


新型コロナウイルスが、中国への貿易依存度の高い中南米に重大な影響を及ぼすとの見方が強まっている。


中南米では最近、「中国がくしゃみをすれば、中南米は風邪をひく」とよく言われる。それほど、中南米は近年、中国との経済的結び付きが強くなり、貿易・投資面で緊密な関係を築いている。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)の資料によれば、中国と中南米間の貿易は2000年初頭には200億ドル以下だったものが、ここ20年近くで約20倍に膨れ上がった。ブラジル、ペルー、チリ、ウルグアイにとって今や最大の貿易相手国は中国。他の多くの中南米諸国にとっても中国は2番目か、あるいは重要な貿易パートナーである。この地域から鉱産物、農産物、原油など一次産品が中国向けに大量に輸出されているのは周知の事実。


「中南米主要国は貿易面で中国依存が非常に大きくなっており、その分だけ脆弱性も抱えている」(ECLACの専門家)というのが、多くの中南米経済の専門家の一致した見方だ。各国の輸出に占める中国向けシェアは高い。国際通貨基金(IMF)の資料によれば、チリは輸出全体の約34%が中国向け、ペルーでは28%、ブラジルは25%が中国輸出に依存している。コロナウイルスの影響で中国経済が減速した場合、中南米産品の対中輸出が大幅減少するのは間違いない。ただし、メキシコは例外で最大の貿易相手国は米国、対中輸出は0.2%弱と中国依存度は非常に低い。


実は今年初めごろには、中南米経済は昨年の不振から脱却し、緩やかながらも回復軌道に向かうとの見通しが有力だった。今年1月、国際通貨基金(IMF)が公表した中南米地域の2020年の経済見通しによれば、域内の国内総生産(GDP)成長率は前年比1.6%増で、昨年の0.1%増を若干上回るとされていた。チリなどでの社会不安増大やメキシコ経済の落ち込みといった要因があるものの、ブラジルで長年の懸案だった年金改革が成立し、景況感が改善されることなどが大きなプラス要因とみられたからである。実際、IMFは今年のブラジルの成長率をプラス2.2%、21年は同2.3%と予想していた。



▲写真 輸出用コンテナ(イメージ) 出典:Pxruel


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