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ベトナム、強制自白映像放映

Japan In-depth / 2020年3月19日 18時0分

 



写真)ドンタム地方


出典)Frikr: manhhai


 


しかし事件のわずか4日後となる同月13日に国営テレビ「VTV1」にキン氏の息子、孫、養子の娘、男性親族の4人が登場して「殺害という暴力行為への加担」を”自白”する映像が放映された。


 


 その時の映像では4人の顔には殴られた痕や切創があったとしており、誰の目にも「強制自白」が明らかだったと同NGOは指摘、警察官による殺人という事件に対して世間を納得させるために早期に工作した結果とみている。


 


★強制自白の高度な手法は中国から?


 


 2017年にドイツで身柄を拘束されたベトナム国営企業の幹部が後にベトナムのテレビに登場して「ベトナムへの帰国は自らの意思である」と語った。この例を挙げて同NGOは2015年にタイで拉致された中国系スウェーデン人の出版関係者が数か月後に中国で放映されたテレビ番組で「自分の意志で帰国した」と説明したケースと全く同じパターンであり、ベトナム当局は「強制自白」の手口を中国から学んでいるようだ、と指摘している。


 


 同NGOは2018年に「強制された中国テレビ放映の自白の裏」という裁判を前にした容疑者による「罪の強制自白」に関するレポートも発表している。


 


このため、ベトナムの「強制自白」のテレビ番組が「以前は稚拙だったものが2017年以降、精巧かつ巧妙で洗練された内容に変化している」として中国の影響を鋭く指摘。「ベトナム当局が中国の手法を学んでそれを活用していると思われる」と分析している。


 


★強制自白は国内法にも違反


 


 同NGOのホームページによると報告の中でこうした一連の「強制自白映像」に関して①容疑者は嘘、強制、欺瞞に満ちたことを言わされている②強制自白の内容は警察が創作、でっちあげたものである③容疑者は必ず謝罪、寛大な処置要求、同様の過ちを犯さないよう仲間に訴え、最後には「過ちを示し、教育してくれた国家」に感謝する言葉で終わっている、という共通点を指摘している。


 


 多くの国際的人権団体などはベトナムでは日常的に不当な理由で人権活動家や反共産党系の活動家などへの身柄拘束、逮捕さらに精神的肉体的拷問、脅迫が続いていると指摘している。中には反国家、反共産党として身に覚えのない罪をでっちあげられるケースもあるという。


 


 そうした不法行為は当然だが、「自白の強要禁止」はベトナム刑法にも明文規定されており、同NGOの指摘が事実とすれば同法違反は明らかだ。またベトナムも1982年に署名している「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(1966年国連総会採択)にも反することになる。


 


 こうしたことから同NGOでは国際社会に対してベトナムの人権状況の実態を広く訴え、ベトナム政府に一致して圧力をかけるよう呼びかけている。


トップ写真:Safe Guard Defendersのリポート「Coerced on Camera: Televised Confessions in Vietnam (2020):カメラの前で強制:ベトナムで自白映像放映  (2020)」の表紙


出典:Safe Guard Defenders


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