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京大総長が説く ゴリラに学べ

Japan In-depth / 2020年3月23日 21時0分

ゴリラは、他の動物を見ると相手を知ろうと、近づいてきて“覗き込む”ように見る。この“覗き込み”に対し怖がって下を向いたり、そっぽを向くと敵意をもっているとみなされるので、こちらも覗き込み返すことが仲良くなるコツ。しかし最初のうちはゴリラに覗き込まれるとついビビッてしまうが、そこをガマンしてこちらも相手の目をじっと見つめている勇気がいるのだ。これを繰り返していると、敵意がないとみて側に寄ってもこちらの存在を全く気にせず行動するようになるらしい。人間の側に寄ってこちらの存在を全く気にせず行動するようになるらしい。人間の側に犬や猫、鶏などがきても、人はほとんど気にしないが、それと同じような状態になるというのだ。


仲良くなるとゴリラは遊びにくる。タイタスと名付けたゴリラは、雨が降った時、山極さんが樹洞に入って雨宿りしていたら、後から雨を避けようと同じ洞に入ってきて山極さんの膝の上に座り、そのまま寝てしまったこともある。ゴリラとの挨拶は“グフーム”と低い声を出し、コホコホと咳をすれば、“違う”という意思表示になるともいう。


 


■ 家族を大事にするゴリラ社会と人間


ゴリラ社会は家族を大事にし、互いに奉仕したり、子供と遊ぶ能力を持ち、食べ物を分け合って平和的に食事をするが、サルはヒエラルキーの社会で相手の強弱によって関係を作り、家庭よりも集団の中で生きる。


人間は家族を大事にするが、自分の属する集団にも強いアイデンティティを感じ、食物や仕事の分配・分担を行なう互酬性の社会を作って子育てを行ない、平等意識を持って暮らす社会を形成、どちらかというとサル社会よりゴリラ社会に似ている。ただ人間は物事を考え、考えたことや学んだ知識を頭に蓄え、それらをつなぎ合わせたり構成し直したりしてまた新たな構想、世界を作り出す能力を持つことが大きな特色だという。そこに人間とゴリラや他の動物との違いがあり、そのことによって人間は成長、進化してきたとみる。


 


■ IT化・AIは人間を衰弱させる


ただ最近はIT化が進み、人工知能が出現。さらにロボットによって働き方も変わってきたことにより、人間はむしろ退化してきたのではないかと山極さんは心配する。かつては頭の中に蓄えていた知識をパソコンなどに置き換え必要な時に取り出すようになってしまったし、人工知能やロボットに物事を考えること、働くことなどを機械に任せるようになってきたからだ。


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