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米国新型ウイルスとの戦い 4

Japan In-depth / 2020年3月27日 12時33分

米国新型ウイルスとの戦い 4


 


植木安弘(上智大学総合グローバル学部教授)


「植木安弘のグローバルイシュー考察」


【まとめ】


・米、新型ウイルスで経済が急速に悪化。


・失業保険申し込み殺到。監視体制設置し救済措置とる。


・米国経済の行方は政治的決断次第。


 新型ウイルスが米国経済に与える影響は甚大だ。ダウ平均株価は、経済の好況を反映して一時3万ドルに達していたが、新型ウイルスの急速な拡大に伴う一連の渡航制限やビジネスの閉鎖に影響され、3月23日の時点で2万ドルを大きく割った。ナスダックやS&P500も同様に4割程度株価を下げている。株価の低下で、米国の資産の喪失は大きい。


トランプ大統領が就任した当時の株価を下回る水準で、法人税を35パーセントから20パーセントに大幅に切り下げ好況の要因を作った成果が元の木阿弥となった。


 3月に入って急速に拡大した感染により、ワシントン州やカリフォルニア州、ニューヨーク州などが相次ぎ多くの人数が集まる空間を規制したことにより、レストランやバー、ショー、イベントなどが次々に閉鎖に持ち込まれ中小企業や事業者には大打撃となった。さらに、航空制限が中国から新たな感染源となった西欧諸国まで及ぶと航空業界だけでなく、ツーリズムや娯楽産業にも大きな打撃を与えた。米国最大の航空機製造会社ボーイングは、3月23日ワシントン州の工場を二週間閉鎖することを発表したが、これにより7万人の従業者が一時休業となった。同州での従業員30人以上が感染したためとしているが、受注が大きく減少していることもある。このような状況は全国に広がっている。



画像)閉鎖されたインペリアルビーチ (カリフォルニア州)(C)Japan In-depth 編集部


 この経済の急速な低下により、解雇や一時解雇(レイオフ)による失業保険の申し込みが急増し、労働省の統計によると、3月10-14日の週だけでも新たな申し込みが7万人となった。全体で28万人規模だ。この傾向は急激に加速し、僅か一週間後に何と330万人に上った。驚異的な数字となったが、さらに増えることが予想され、特に、中小規模の企業や事業者への打撃が多いことが分かる。連邦準備銀行は、第2四半期の失業率は30パーセントに達するとの予測を出している。これは1930年代の大恐慌時以上と言われている。


このような状況を受け、連邦準備制度(FRB)は既に金利をほぼゼロに引き下げ、さらに量的緩和の再開を決めていたが、3月23日、量的緩和を無制限にし、国債や住宅ローン担保証券(MBS)を必要なだけ買い入れることを発表した。これにより、大小企業や消費者の資金繰りを支援することを狙っている。追加措置も加えると、総額5,000億ドルにのぼる。


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