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真の脅威はインフォデミック(上) ウイルスより人間が怖い 1

Japan In-depth / 2020年3月31日 23時34分

報道によれば、外出から帰った際に、


「20秒以上かけて丹念に手を洗うことと、手を洗う前に顔を触らないこと」


さえ徹底すれば、感染リスクをかなり低減できるのだとか。


次にマスクだが、花粉用のマスクではウイルスは防げない。理由は簡単で、花粉とウイルスの大きさを比べたならば、バスケットボールとケシ粒ほども違うからだ。ただ、くしゃみや咳で飛沫を散らさないことは有効な対策なので、


「外出の際マスクをするのは、自分のためでなく他人のため」


なのだと考えるべきだろう。そのマスクが手に入らないのでは、いかんともしがたいが。


ところで、どうして今回パンデミックという事態にまで至ってしまったのか。


理由のひとつは「地球が狭くなったから」である。


先ほど、風土病という言葉が死語になりつつある、と述べたのも話がここにつながってくる。かつて西インド諸島の風土病であった梅毒が、アメリカ新大陸を発見したコロンブスの航海(1492年)の結果ヨーロッパに上陸し、その後、交易を通じてユーラシアおよびアフリカ大陸に広まっていった。そして1543年、ポルトガル船によって、九州の種子島に鉄砲と共にもたらされたが、これが日本初上陸だと考えられている。


つまり当時は、ヨーロッパに広まった疾病が日本に達するまでに半世紀の時間を要したわけだが、今は、東京ーロンドン間の直行便なら11時間。それほど移動手段が発達し、なおかつ、時期によっては成田空港だけで連日万単位の利用客があるわけだから、疾病が伝播する速度が別物になったのも無理はない。


もうひとつの理由は、蔓延しているのが「新型」コロナウイルスだからである。



▲画像 1964年のソ連の切手に描かれたドミトリー・イワノフスキー。 出典: Andrei Sdobnikov


ウイルスというのは「毒液」を意味するラテン語だが、1892年にドミトリー・イワノフスキーというロシアの医学者が、細菌ろ過機を通過し、光学顕微鏡では観察できない微小な病原体が存在することを報告したことで、その存在が明らかとなった。今では多数が知られているが、コロナというのも「王冠」を意味するラテン語(英語のクラウンの語源)で、その形から命名された。



▲画像 米CDCが作成したコロナウイルスのイメージ。外側の突起がクラウン(王冠)のようなのが特徴。 出典:CDC (Public domain)


そして、ウイルスというのは前述のように、遺伝物質がきわめて不安定であるため、容易に突然変異が起きる。今回もその例に漏れないわけだ。


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