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ガソリンは100円・ℓ切らない

Japan In-depth / 2020年4月1日 11時0分

つまり、以前のような競争過熱によるガソリン廉売は期待できなくなったのである。



▲写真 ガソリン値段イメージ(2016)出典:円周率3パーセント


■ 販売系列整理と転売の消滅


第2は系列整理によるガソリン卸価格の高止まりである。これもガソリン価格の引き下げを抑制する。卸価格の段階で安値販売を困難となるからだ。


平成の時代は石油銘柄が整理された時代でもあった。


昭和末期から平成初期には16のブランドがあった。農協も含めるとその数字となる。また輸入自由化により独立系のスタンドも数多く存在していた。


それが平成30年間の合併等によりブランドは7つまで整理された。正味ではもっと少ない。乱暴に言えばほぼ2系列となっている。元売りは実質2社しかない。


これは効率追求の結果である。石油精製、流通、管理、資本にはスケールメリットがある。


この系列整理もガソリン価格を高止まりさせる。


卸価格の段階で価格を高目安定させるからだ。


一つは系列間競争の緩和による卸価格の安定である。店舗間競争と同様に系列間の競争も弱化する。そのためガソリン卸価格の引き下げや値引きの必要性が減じた。なお系列間の競争緩和は石油ブランドのコマーシャル縮小で歴然としている。


もう一つは転売の縮小である。


かつての安売りはガソリン転売に支えられた部分があった。元売りが余剰在庫を抱えた場合、系列外に安値で転売していた。*4 独立系スタンドはそれを入手して法外な安値販売を行った。また系列スタンドも隠れて仕入れており価格競争の原動力であると言われていた。


しかし系列整理により転売も縮小した。元売りは転売し難くなり、同時に系列スタンドも購入し難くなった。元売りからすれば転売は利敵行為である。また店舗としても購入がバレやすくなる。


また、独立系スタンドも安値ガソリンを入手できなくなった。これも価格競争の発生を抑制する要素である。


ガソリンは卸価格の段階でも安売りが難しくなったのである。


 


■ 人件費の上昇


第3が人件費の上昇である。今日、賃金は上昇する傾向にある。しかしガソリンスタンドでは効率化によりコスト上昇を吸収し得ない状態となっている。


20年前にはまだ賃金も安く効率化の余地もあった。


当時の最低賃金は東京都で700円程度である。もちろん、その額では人は集まらない。ただ2割も足せばアルバイトは雇えた。また労働力は豊富であった。


また当時はセルフ給油で人件費圧縮が可能であった。規制緩和は98年である。その導入は当時の低価格の要因でもあったのだろう。


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