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ガソリンは100円・ℓ切らない

Japan In-depth / 2020年4月1日 11時0分

だが近年では賃金上昇と効率化は限界に直面している。


賃金は人口減少に応じて急上昇している。東京都の最低賃金は1013円である。スタンドのバイト募集時給は東京都内では1200円以上、市内中心部では1500円に達した。そして今後も上昇する。


この人件費上昇を吸収する目処はない。セルフ化も大規模化も行き着いている。その次の新機軸が登場する見込みもない。*5


ガソリン価格は人件費の分、高くなるのだ。影響はスタンドの規模や回転率にもよる。ただ、よほどのスタンドでなければ無視できない。リッターあたりの人件費は20年前と比較して1円2円は上昇している。*6


これも平均100円を切らないと判断する理由である。20年前でも東京都内ではギリギリ平均100円を割る程度であった。そこにリッターあたり1円2円の経費増が加わる形であるためだ。


 


*1 「ガソリン1L当たりの小売価格(東京都区部)」(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/pdf/7301_13.pdf


*2 当時、筆者近隣のスタンドでは瞬間最大でリッター79円まで落ちていた。埼玉県川越市付近では当時屈指の価格競争がなされていた。


*3 「揮発油販売業者数及び給油所数の推移」(経産省資源エネルギー庁、2019年7月)https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/hinnkakuhou/data/190723sm.pdf


*4 ガソリンは長期保存はできない。重合や分解により品質が低下する。また余剰在庫整理では系列内への安値販売もできない。値引くと以降の取引における参考価格となってしまう。


*5 今以上の人件費削減には無人化しかない。ただ、ガソリンは危険物である以上、遠隔監視やAIによるスタンド無人化はおそらく認められない。仮にスタンド全体をカバーできる泡消火器があって監視機器故障や救命要員の必要性から認められないだろう。実際に今回の消防庁省令改正もスタンドへの人員配置は死守させる形である。


*6 20年前の900円から現今の1200円の時給上昇に耐えるには人数・時間あたり300リットル以上の売上増が必要となる。仮に20年前はバイト一人あたり軽油合わせて500リットル売れば収益が出たとしよう。これは店舗の開店時間を平均した数字だ。それが今では深夜を含めて平均800リットルを売る必要があるということだ。


トップ写真:SHELL ガソリンスタンドイメージ 出典:Pixabay: ElasticComputeFarm


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