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聞いて呆れる「危機に立ち向かえ」  ウイルスより人間が怖い 最終回

Japan In-depth / 2020年4月3日 18時0分

額にしておよそ7兆9000億円(5100億人民元)だが、失業保険の受給資格を満たしていない人に対しても、最大6か月間の給付が認められるそうなので、総額はもっとずっと膨らむことになろう。


英国でも、外出が事実上禁止され、食料品や医薬品を扱う商店以外は休業を強いられているのだが、政府はこうした事業主に対して、およそ43兆円(3300億ポンド)の「つなぎ融資」をすると発表した他、およそ33万円(2500ポンド)を上限に、従業員の給与の80パーセントを肩代わりすることも決めている。


これに引き換えわが国では、通常の予算の成立が優先され、新型コロナ対策については、3月も終わろうという時期になって、ようやく


「リーマン・ショック時を上回る緊急経済対策を取りまとめるよう指示した」


と発表したにとどまっている(28日。『日本経済新聞』などによる)。リーマン・ショック当時の対策は、額にして56兆8000億円ほど。今次はそれを上回り「名目GDPの1パーセントに達する」とも述べているので(同前)、60兆円程度のことを考えているのだろうか。


ドイツよりかなり少なく、物価水準を加味して考えたならば、中国と五十歩百歩といったところだ。しかも減税は今のところ考えていないそうである。


「日本の新型コロナ対策は、諸国に比べて甘い」


というのも、最近ネットではよく見かける意見だが、これは諸国の経済対策との比較についての話ではなく、早く緊急事態宣言を出せ、と言わんばかりなのだ。


オーバーシュートと言われながら、日本での感染者数が欧米よりはかなり少ないのは、医療現場の奮闘と、皆が検査や「自粛」に協力的であること、衛生に対する意識の高さ、それに、握手してハグしてキスして、という文化がないので、同様に「濃厚接触」と言っても程度問題だ、という側面がある。


つまり、こういうことではないか。


権限と責任を同時に与えられている「お偉方」には当事者能力が欠如しているのに、現場の献身と、国民の従順さ、規律正しさのおかげで、破滅を免れるばかりか、やがて復元力が発揮される。


わが国が直面する「危機」は、いつもこのようだ。


 


【追記】


この原稿の本文を書き終えたのと入れ違いのように、志村けん氏の訃報が届いた。よく知られる通り、新型コロナウイルスに感染して肺炎を発症し、闘病中であったが、ついに還らぬ人となってしまった。享年70。ご冥福をお祈りいたします。


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