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二人の本田と綾瀬はるかの話 家にいるなら邦画を見よう 1

Japan In-depth / 2020年4月10日 23時0分

一方で、笑える芝居をやらせても上手だ。コメディエンヌがちゃんとやれるというのがよい女優の条件であると、これまた偏見と言われようが、私は昔から信じている。


ただ、私が綾瀬はるかという女優に本当に惚れ込んだのは、2015年に公開された『海街diary』の1シーンを見た時であった。


 この映画は結構当たったので、ご存じの読者もおられるかも知れないが、鎌倉を舞台に、一軒家で暮らす三姉妹と、そこに引き取られてくる異母妹の物語だ。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆がその三姉妹、広瀬すずが異母妹を演じている。



写真)映画『海街diary』ロケで使用された鎌倉市某所にある家


出典) Photo by Sakaori


両親はいずれも家を出てしまったという複雑な環境だが、出奔した父親が東北の小さな町で亡くなったという知らせを聞いて葬儀に出向くところから話が始まる。そこで、父親を亡くして憔悴している異母妹の存在を知り、帰りの電車が動き出す直前に声をかける。


「よかったら鎌倉に来ない?四人で暮らそうよ。みんな働いてるから、あんた一人くらいなんとかなるよ」


 それがどうした、と今言った人は、ちょっと表に出ましょうか……という話ではなくて、たしかに、どうということはない台詞だ。けれども、綾瀬はるかがこの台詞を口にした瞬間、スクリーンの中の世界が、なんとも言えないやさしい空気に満たされたのが、見ているこちらにまで伝わってきた。何百本と映画を見た私にして、稀有な体験だった。


ここで再び新型コロナの話題となるが、自粛のストレスのせいか夫婦仲が悪くなり「コロナ離婚」に至るケースも出始めていると聞く。


この映画でも、両親がいずれも出奔してしまっているわけで、その意味では「抑止力」にはならないだろう。ただ、あえて突き放した言い方をするが、家に閉じ込められて夫婦の仲に亀裂が入るようでは、もともと問題があった、ということになるのではないか。


そのことは踏まえた上で、両親に去られても頑張って生きてゆく四姉妹の姿を見て、家族の絆というものをもう一度考えてみるのも、悪くないと思えるのである。 


 


(続く)


 


トップ写真)名画座「ギンレイホール」にて


出典)flickr by naoto shinozaki


 


 


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