人の移動と新型ウイルス拡大
Japan In-depth / 2020年4月11日 14時58分
植木安弘(上智大学総合グローバル学部教授)
「植木安弘のグローバルイシュー考察」
【まとめ】
・急速なグローバル化に伴う人の移動と新型ウイルスの特性で感染拡大。
・地方に比べて裕福だが人口が密集する大都市で感染者数が多い。
・大都市は低所得地域で感染者数多く、富の格差が感染者数の格差に。
世界的な感染症や地域的感染症は今に始まったものではないが、2000年代には、2003年に広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)、2009年から2010年にかけて世界中に大流行した(パンデミック)H1N1インフルエンザ、2012年から感染が始まった中東呼吸器症候群(MERS)、2014-2016年のエボラ出血熱などが世界を騒がせた。
2019年12月に中国の湖北省武漢から始まったとされる新型コロナウイルス感染症は、翌年3月までには世界的な拡大を見て、4月初めの時点で既に100万人を超える感染者を記録し、死者は6万人を超えた。感染はさらに拡大しつつある。この拡大には、急速なグローバリゼーションに伴う人の移動と新型ウイルスの特性がある。
ニューヨークタイムズ誌は4月4日付けの記事で、中国で新型ウイルスが発生してから、中国から米国への人の移動を分析した結果を報告している。2019年の大晦日から2020年3月末までに、約43万人の人が中国から米国に入国しているというものである。
トランプ大統領が1月31日に中国からの入国を2月2日の夕方から制限すると発表した以前に、既に中国からの直行便が米国17の都市に到着しており、多くの国籍の人を含んでいたが、大多数がロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴ、シアトル、ニューワーク、デトロイトの空港に到着していた。その中には、武漢から入国した人が何千人もいたとのことである。
▲写真 ニューヨーク市内のコンベンション・センターに州軍が設置した新型コロナウイルス陽性者収容施設(2020年4月2日)出典: flickr; The National Guard
1月上旬は、中国での新型ウイルスの感染がどのような危険をもたらすか米国でもまだ分析中であったことから、どのような対応をして良いかまだ暗中模索の段階だった。米国が中国からの旅行者の健康状態を調べ始めたのは1月中旬で、それもロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークの三か所だけだった。中国からの渡航制限発表以降もほぼ4万人のアメリカ人や他の国籍の人達が中国から入国している。
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