米から学ぶ新型ウイルス対策
Japan In-depth / 2020年4月12日 18時0分
3月中旬に感染が急速度で拡大する中、やっと民間医療機関による検査キットが許可された。この遅れで貴重な時間を失った。その後、簡易の検査キットで民間の医療機関やドライブ・スルーなどの活用で短時間の検査が可能となった。検査の拡大は感染者の拡大につながったが、感染者を早期に隔離するのに役立っている。
日本の場合、検査の数の諸外国の比べ極端に少ない。発症が疑われる人だけに検査を行っているが、点ではなく面で検査を実施しないと、感染している人を早期に発見することは出来ない。4月9-10日の時点での検査数は、米国が200万近く、日本が約7万。ちなみに、韓国の場合は、3月中旬の時点で既に検査数が25万に達していた。日本は簡易に検査できる検査キットや検査所を大幅に増やすべきだ。
▲写真 コロナウイルス検査の様子(イメージ) 出典: PIXNIO
4.医療体制
米国では、3月中旬以降の感染者数の驚愕的増加に伴い、医療崩壊が起きている。N95医療用マスクの不足、人口呼吸器の不足、保護服の不足、病棟や病床の不足などだが、特に人口呼吸器の不足が一番深刻な問題となった。人口呼吸器は肺炎に発達した重症患者にとって命を守る最後の手段だが、それでも米国では8割が死亡すると言われている。
日本での感染者数は、米国の約50万人に対し、僅か6千人だが、既に医療崩壊の危機が叫ばれている。4月に入り感染者数が急増しており、これからさらに急増が見込まれる中、日本も緊急の医療体制拡充に乗り出さなければならない。
米国では当初民間企業に人口呼吸器やその他の医療機器や用具の製造を許していなかったが、民間企業の支援を必要とせざるを得なかった。日本の企業も、医療体制の早急な充実に寄与すべき体制を整える必要がある。
5.人員の確保
米国で大きな問題となったのが、医療関係者の感染や死亡である。その中には医者や看護師などが含まれる。米国で一番の感染地となっているニューヨークでは、遂に退職した医療関係者に呼びかけボランティアを募った。また、警察は、約15パーセントが感染あるいは濃厚接触者との接触の関係で欠勤となっている。通勤電車や地下鉄など公共交通機関の従事者も多くも同様に欠勤となり、これまで平日でも土曜日の休日スケジュールにしていた通勤電車は1時間に一本程度になり、地下鉄も約40分待ちになったと言われている。
日本の場合、電車や地下鉄は「3つの密」(密閉、密集、密接)を避けるのが極めて難しい。日本は米国よりも鉄道従事者の衛生管理は良く出来ているにしても、非常事態宣言下、運行数を削減して、鉄道従事者の労働負担を削減して感染の危険度を下げるべきである。日本はまだ医療崩壊に至るまでになっていないが、ギリギリのところに来ていると言われており、急速の感染者の拡大に備えて、医療関係者についても今から補充体制を真剣に考えるべきであろう。
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