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米から学ぶ新型ウイルス対策

Japan In-depth / 2020年4月12日 18時0分

 


6.人々の態度


米国では、イタリアやスペインなどで2月末から急速な感染拡大と死者の増大が起き、医療崩壊も起きていたのに、対岸の火事とばかりにほとんどの人は普段と変わりない生活をして、十分な対策を講じて来なかった。3月上旬に至ってもレストランやバー、娯楽施設は人込みに溢れていた。


ニューヨークでは、マスクをしたアジア系の女性が暴力に遭う騒ぎが注目されたが、新型ウイルスの脅威に対する理解が欠けていた。新型ウイルスは主に接触感染が感染経路で、スパイクがリン脂質(油)から出ていることから、特に手に付着して、それが体内に入ることが多い。そのため、暑いお湯や石鹸で手洗いをすることが極めて大事であるが、米国人は手洗いの慣行が希薄だった上に、真剣にマスクや手洗いの重要性に気を留めなかった。


日本の場合は衛生への態度は評価されるが、人と物理的距離を置く「社会的距離」に関しては、あまり真剣に実行してこなかったのではないかと思われる。居酒屋やカラオケ、バー、ナイトクラブなど、3つの密を避けて来なかったことからクラスター感染が頻繁に起こるようになった。


3月下旬の東京の雰囲気は、3月上旬のニューヨークに似ていた。東京都は週末の不要不急の外出制限を訴えたが、平日の外出制限は出していなかったので、有効な手立てとはならなかった。感染の拡大は時間の問題であった。


 


7.政治のリーダーシップ


米国では、トランプ大統領が米国内での感染発覚当初から、2020年秋の大統領選挙での再選を意識して感染の危険性を過少評価してきた。3月上旬になっても感染拡大を阻止する体制は万全だ、感染は間もなく収束する、といった発言を繰り返して、自ら感染症への態度を疎かにした。


選挙ラリーを続け、外国の要人とは握手し、その中から感染者が出ても直ぐには対応しなかった。自ら検査を受けた時には、既に米国での感染は飛躍的に拡大していた。3月末に至って驚愕的な数字となっても、4月イースター(4月12日の復活祭)までには落ち着くと言ったりした。


やっと事の重大さと自らの再選への悪影響に気づき、先陣に立って記者会見を行うようになったが、感染の専門家の見解と異なる言動が目立ち、共和党員の中でも懸念の声が上がるようになった。


 


▲写真 休業要請に関する東京都との調整について会見をする安倍首相 出典: 首相官邸Twitter


日本の場合も、当初から新型ウイルスの脅威を過少評価していたのではないかと思われるところがある。4月に公式訪問を予定していた中国の習近平主席への配慮があったのではないかといった憶測や、夏のオリンピックへの影響を恐れて対応を遅らせていたのではないかといった憶測まで流れた。


実際に、より真剣な対策が表立って現れたのは、オリンピックの一年延期後だった。それまでに、隣の韓国では真剣な取り組みが行われ、感染拡大をかなりの程度に抑えた。その効果もあり、4月15日の国政選挙を実施することになった。日本の場合、中央集権体制が強く、東京を含めた地方自治体の努力だけでは十分な対応が出来ない。政治的利害を超えた政治の強いリーダーシップが求められる。


トップ写真:官民金融機関との会談の様子 出典:首相官邸Twitter


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