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大林監督作品と方言の話 家にいるなら邦画を見よう 2

Japan In-depth / 2020年4月13日 18時0分

 


理由は分からない、と言われると、ならば自分で調べよう、となるのがジャーナリスト根性というもので(それほど立派なことではないが笑)、概略以下のようなことらしい。


 


人になにかを渡すことを古い日本語で「つかわす(遣わす)」と言い、今でも古典落語や時代劇で耳にするし、小遣いといった言葉も派生した。ここから「つかわしてくだされ(私に下さい)」との表現が生まれ、さらに訛って「〜してつかあさい」と言うようになった。この言い方は、西日本一帯でかなり広く使われているようだ。


 


けれども、同じ香川県内、それも日本一小さな県のこととて多度津と観音寺など目と鼻の先なのに、どうして方言が異なるのか、その理由は分からなかった。


 


一方では、バンドのミーティングの場所が毎度うどん屋であったり、楽器を買い揃えるためにアルバイトするのだが、マクドナルドなどはないので木工所で働いたりと、地元を愛する人たちには申し訳ない言い方ながら「やっぱり香川県」というあたりも面白かった。


 


早い話が私の個人的な経験と嗜好が、この映画を楽しいものとしたわけだが、映画の楽しみ方など、それでよいのではないか。


 


前述の尾道三部作では、あまり方言を前面に押し出していないが、おそらくこれは、尾道の風景が映画の中でよい味を出してはいるものの、ファンタジーに現実の土地柄などあまり関係ない、ということであったのかも知れない。


 


もうひとつ、岸部一徳の演技と存在感も特筆すべきものだ。私が彼に注目したのも実はこの映画が初めてで、元「ザ・タイガースのサリー」であったことは、少し後で知った。



写真:岸部一徳 出典:Flickr; Dick Thomas Johnson


 


それのなにが面白かったのかと言うと、主人公らは高校の軽音楽部でバンド活動を始めるのだが、折から「グループサウンズ」のブームが到来して、洋楽にこだわる彼らは新入生によってパージされてしまう。高2が高1に対して、


「ジェネレーション・ギャップを感じるのう」


などと言って笑いをとるのだが、そんな彼らに、練習場所を確保する手助けをしたり、なにくれとなく手を差し伸べてくれる先生の役を、グループサウンズの頂点にいたザ・タイガースの元メンバーが演じるという……意図的なキャスティングだったらすごいな、などと思った。偶然だろうけど。


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