人類と感染症7 スペイン風邪、西部戦線異状あり
Japan In-depth / 2020年4月20日 16時58分
人と人との戦争はひとまず終わった。アメリカの力を世界に見せつけた。しかし、ウイルスとの戦争は終わっていなかった。これからが本番となった。
生き残った兵士は戦線から自国に戻り、スペイン風邪はそれぞれの国で、広まった。凄まじい感染力で、世界中を席巻したのだ。アフリカ、アジア、さらには日本にも波及した。
スペイン風邪は、第一次世界大戦の終了と同じタイミグで、世界に広まった。犠牲者は5000万人にもおよんだ。
第一次世界大戦は歴史上、経験のないほどの人数の兵士が船を使って大移動した。ウイルスにとっては最高の“乗り物”を獲得したのだ。人類初の世界戦争が第一次大戦。戦争のグローバル化である。
スペイン風邪を取り巻く、国際情勢をお伝えしたが、今、我々はよく似た環境に生きている。コロナ前までは、世の中は、グローバル化をおう歌していた。日本政府は訪日外国人数を2020年、つまり今年までに4000万人にするという目標をたてていた。中国だけでなく、東南アジアの中間層が台頭し、日本への旅行客が急増していた。日本訪日外国人の増加こそが、日本経済復活の切り札とされてきた。その野望は、新型コロナによって、あっけなく、打ち砕かれた。
また、アメリカと中国の貿易戦争も勃発している。第一次大戦のように、実弾は飛び交っていないが、超大国が角突き合わせる状態が続くのは、異常だ。不思議なことに、感染病は人間社会が対立するとき、流行する。歴史を踏まえれば、我々は、孤立化したり、対立をあおったりすべきでない。歴史上まれにみる狂暴なウイルスに、世界が団結して対抗すべきだと、私は思う。
トップ写真:スペイン風邪の患者であふれる病院 出典:PLOS
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