人類と感染症9 スペイン風邪は第二次大戦の要因
Japan In-depth / 2020年4月22日 11時0分
写真)ワシントンでのスペイン風邪治療の様子
出典)Photo by Harris & Ewing via Library of Congress
そして6月を迎えた。連合国とドイツの間で講和条約、ヴェルサイユ条約が結ばれた。ドイツに巨額の賠償を求めることになった。それは、フランスによるドイツへの報復を鮮明にする内容だった。
ウィルソン大統領は、あれだけ反対していたにもかかわらず、あっさり条約に調印した。自らの信条を曲げた格好だ。長期にわたるパリでの滞在に終止符を打った。「ジョージ・ワシントン号」に乗って帰国した。理想主義は完全に敗北したのだ。もはや政治家としての魂が抜けきったのか。スペイン風邪のウイルスは、世界最強の政治家の体に入り込み、内部から徹底的に破壊した。
その後の歴史は周知の通りだ。ドイツに巨額の賠償が課せられた。このため、ドイツでは、経済が深刻な危機に陥り、不満が高まった。それが、結局、ヒトラーの台頭につながる。スペイン風邪のウイルスは、第二次世界大戦を引き起こす土壌をつくったわけだ。
ここまで調べて私は、愕然とした。スペイン風邪ウイルスは感染して直接、人々を殺すだけでなく、間接的な「殺人鬼」でもある。人間社会の歴史をコントロールし、第二次世界大戦を誘発した。
恐るべし、ウイルス。100年ぶりのパンデミックとも言われる今回の新型コロナだが、スペイン風邪のような暴走を許してはいけない。あとあとまで、禍根を残すことになる。人類は、英知を結してこの「殺人鬼」のウイルスと戦わなければならない。
(つづく。人類と感染症1、2、3、4、5、6、7、8)
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