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アニメの出来は声優次第 家にいるなら邦画を見よう 4

Japan In-depth / 2020年5月2日 7時0分

アニメそれ自体としては、なにがいけないということもなく、むしろ面白い作品に仕上がっていると言えるのだが、声優がよくなかった。


主人公・堀越二郎の声を、庵野秀明が担当したのだが、そもそも彼はアニメ制作者で、声優でも俳優でもない、いわば素人である。東大に入学すべく上京した主人公が、関東大震災に遭い、混乱の中、後に妻となる女性とめぐり合うのだが、


「(上野)広小路の方は火が回っていないようだから」


と避難誘導する台詞が、棒読みで緊張感ゼロ。結核患者が寝ている部屋でタバコを吸うバカがいるか、という悪名高いシーンと並んで、ジブリ映画史上の二大汚点ではないか、とさえ思った。


そこへ行くと、主人公の妹の声を担当した志田未来はさすがなもので、幼少期の声やしゃべり方と、成長して女医を志す学生時代のそれとを、きちんと使い分けていた。



▲写真 映画「風立ちぬ」のグッズ(2013年12月 東京・上野)出典: flickr; chinnian


ちなみに前述の『耳をすませば』では、ヒロイン・月島雫をベテラン声優の本名陽子、相手役の天沢聖司を後に俳優として大ブレイクする高橋一生が担当している。雲泥の差、とはまさにこのこと。嘘だと思うなら、見比べてみていただきたい。


亡き大島渚監督は、自分の映画に起用するなら、


「一に素人、二に歌うたい、三、四がなくて五に(舞台)役者」


と語ったことがあるそうだ。



▲写真 大島渚監督(2000年)出典:Rita Molnár


あれほどの監督が言う以上、そこにきちんとした論理の裏付けがあることは疑う余地がないし、実際に『戦場のメリークリスマス』(1983年)では、いずれも映画俳優としては素人のデヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしを起用した。この3人が、いずれも自分の演技を卑下したコメントを残しているあたりが、また面白いが。


その評価はさておき、大島監督の一連の作品と違って、俳優の演技を直接見ることがないアニメ映画の場合は、声優の力量で作品のクオリティが決まると言って過言ではないと、私は思う。


繰り返しになるが、アニメ映画としての『風立ちぬ』は、なかなかよい出来であった。ファンタジーとして、面白くもあった。それだけに素人による台本の棒読みで、ぶち壊しになってしまったことが、残念でならないのである。


トップ写真:トトロ(ジブリ美術館) 出典:flickr / Paul Miller


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