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NY、コロナで広がる生活不安

Japan In-depth / 2020年5月3日 23時0分

現段階では行政命令で「家賃の支払いを90日間猶予する」ということになってはいる。だが、家賃の支払いを延期できても、支払いを免除されるわけではない。しかし、仕事が無いのにその猶予された家賃をどうやって払うのか。逆に、立場を変えて建物を管理する側からすると、その間の建物を維持する費用は誰が面倒を見てくれるのか(例えば、ニューヨークのアパートの水道代は大家の側の負担とするところが多く、家賃に含まれているという解釈)。根は深い。


私も家賃の支払いが出来ない住人の一人だ。2月から全く仕事が無い。ニューヨーク市内だけでも40%の人々が4月の家賃が払えないという。


他にもクレジットカードを始め、各種ローン、電話代、インターネット接続費の支払いもできずにいる。特にインターネットは、子供のオンライン授業でどうしても必要なため、真っ先に支払い手続きの延期を申し込んだ。ただ、これらも支払いを免除されるわけではない。


だが、それら申込手続きが困難を極める。私の場合、インターネット業者にでさえも、最終的にオンラインで担当者とのやり取りが出来るまでに5時間、待たされた。


つながらないのはそれらのサービスだけではない。


140万人ともいわれる州の失業保険の申請はさらに過酷だ。電話申し込みは全くと言っていいほどつながらない。オンライン申請が推奨されるのでやってみたが最初のうちは申請のページにたどりくことさえ困難だった。ようやく申し込みが出来て「72時間以内に確認の電話をします」とのメッセージが出てからもう一週間以上が過ぎている。私の周囲の申し込みをした人たちに聞いてみると、誰ひとりとして電話を受け取っておらず、当然の事ながら保険を受け取ったという人もいない。


日々の現金が底をつきつつある。この先どうなるのか。考えるだけですべての気力が失われる。


生活はどうなるのか。家族はどうなるのか。


先週クオモ州知事からニューヨークの学校の新学年度(9月)までの休校が発表された。すでに夏休みにも相当する期間学校に行っていない息子が、さらにこの先の4ヶ月間、家にいることになる。オンライン授業を充実させるとのことだが、問題はそこだけではない。


近所の病院のうらを通りかかって驚いた。


遺体を臨時に冷凍安置するトレーラーのために閉鎖されたストリートが広場と化し、親に見守られながら子どもたちが遊んでいる。その笑顔の屈託の無さにさらにショックを受けた。「学校へ行く」「遊ぶ」という日常を奪われてしまった子どもたち。困難を抱えているのは大人だけではない。


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