国産戦闘機開発コロナで中止へ
Japan In-depth / 2020年5月5日 23時0分
第3は価値の不存在である。
端的に言えばF-35よりも高価であり低性能の戦闘機となる。その場合は「F-35を買い増したほうがよい」機材となる。つまり製造する意味がない。
価格上昇が2倍でも新戦闘機はF-35よりも高価格だ。F-35各型の日本調達価格は100億~150億円程度だ。新戦闘機の単価100億が倍の200億となるとそれを超える。
それでいて能力はF-35に全く及ばない。日本航空産業と米航空産業の力量は隔絶している。日本はF-35を超える戦闘機を作れない。特にエンジン等の信頼性やレーダほか電子機器への実戦経験適応では全く相手にはならない。
▲画像 C-2輸送機 防衛省の装備調達では防衛産業への配慮が重視される。特に空自の航空機調達はその傾向が強い。輸送機では米製C-17とC-130が選択肢にならないよう要求性能を設定し国産のC-2輸送機を調達した。その結果、大型のC-17と同価格帯でありながら低輸送能力の輸送機が誕生した。 出典:航空自衛隊
■ 防衛産業のための国産開発
国産戦闘機開発は実現が厳しいのである。
なお、この結論はほぼ共通認識である。ある程度の事情を知れば「日本は第一線級の戦闘機を作る能力はない」結論に帰着する。これは防衛省や空自の隊員もそうだ。個人ではそう見ている。
だが、防衛省・空自は本格戦闘機を国産開発する方針を崩していない。
これは防衛産業への斟酌である。
本来、装備調達は使命・目標達成への寄与が最優先される。また達成する上では経済性も追求される。
だが、日本の場合は国内防衛産業への配慮が重視される。高性能かつ妥当価格の海外製兵器調達は理屈をつけて回避される。そして性能は及ばず価格は高い兵器を開発する。それが繰り返されるのだ。
特に空自の航空戦力整備はその傾向が強い。航空産業の仕事を作るため新装備を要求する形だ。その結果がF-2戦闘機や各種の国産ミサイル、C-1、C-2の輸送機の開発である。いずれもピント外れの高価格装備の採用となった。
新戦闘機の開発もそれと同じだ。国産戦闘機が必要なのではない。2035年以降に航空産業に仕事を与える必要が先立っての事業なのである。
▲画像 ゆうぐも 登舷礼を実施する「ゆうぐも」。49年度予算で唯一建造された護衛艦である。オイルショック以前には大型のヘリコプター護衛艦と新機関を搭載した新型護衛艦が計画されていたが建造できたのは安価なディーゼル艦1隻であった。 出典:海上自衛隊HP「写真ギャラリー」
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