対中強硬クルーズ米上院議員に注目
Japan In-depth / 2020年5月6日 7時0分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・4年後の米大統領の有力候補にテッド・クルーズ上院議員。
・「5つの目」から外される可能性あった英、ファーウェイとの契約見直しへ。
・クルーズ、議会内最左派オカシオコルテス氏とも連携、これからの動きに注目。
気鋭の保守派で4年後の米大統領候補の1人テッド・クルーズ上院議員(共和党)に「4つの目は6つの目に勝る」という名言がある。
米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの英語圏5カ国で機密情報を共有する通称「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」という枠組がある。「5つの目」であり、情報同盟と表現されることも多い。
つい最近、武漢ウイルスの発生経緯について中国政府が意図的に証拠隠しに走ったとするファイブ・アイズの調査書がメディアに流れて話題になったばかりだ。
クルーズは、イギリス政府が、中国の情報通信企業ファーウェイを自国の5Gネットワーク構築に参加させる決定をしたことを強く批判してきた米議員の1人である。
ファーウェイは「中国のスパイ機関」であり、通信システムにその関与を認めるような国とは機密情報を共有できない。イギリスはファイブ・アイズから外さざるを得ない。たとえ4つの目に減っても、イギリスを媒介に中国というもう1つの目が覗き込む事態よりは遥かによい。「4つの目は6つの目に勝る」というわけである。
しかし最近「よいニュース」があって、今回のコロナ事態を受け、英国政府は「安全保障リスクの観点からファーウェイとの契約を真剣に見直すようだ」とクルーズはFOXニュース5月3日の番組で語っている(Sunday Morning Futures with Maria Bartiromo, Fox News, 5/3/2020)。
ファイブ・アイズとの連携を希望する日本政府にとり注視すべき展開だし、何よりも日本自ら、中国との関係で情報管理を強化せねば、連携どころか一層「仲間外れ」にされることになりかねない。
クルーズは同じインタビューで、「世界中の何十万という死は、極めて現実的な意味で、中国共産党政権のウソに直接起因する」とも述べている。早い段階で警告を発した医師を顕彰どころか処罰し、証拠隠滅を事とし、地域的流行で終わったはずの災厄をパンデミック(世界的大流行)にまで成長させたのは中国政府であり、責任を取らせねばならないというわけである。クルーズを筆頭にこうした見解を公にする米議員は日ごとに増えている。
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