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川崎病OK、武漢ウイルスNG?

Japan In-depth / 2020年5月6日 23時0分

この理屈に従えば、いまの新型コロナウイルスの名称を「習近平ウイルス」と命名しても、おかしくないことになる。決して習近平主席への反感や敵意からそんな仮定を述べるのではない。川崎富作氏が確認し、国際社会に通知した病気が「川崎病」と称されるならば、武漢でのコロナウイルスを正式に確認して、外部世界に通知したのは習近平主席だったといえるからだ。


このように特定の病気を人名でも地名でも特定の名称に結びつけて呼称することは国際医学界ではごく普通なのである。


近年の実例では「エボラ熱」が発生地のアフリカ、コンゴの特定の川の名前からとられた。2012年ごろから中東地域で発生し、国際的に拡散したコロナウイルスの感染症「中東呼吸器症候群」(MERS)もまさに特定地域の名称そのものだった。



▲写真 エボラウイルス 出典:PIXNIO


古い感染症では20世紀初頭の「スペイン風邪」も国名ずばりから命名された。その後の1920年代に日本から他の諸国への広がる形になった「日本脳炎」(Japanese encephalitis)も、いまなお「日本」という国名そのものの名称で認知されている。


しかしいま全世界を襲う中国の武漢発のコロナウイルスとなると、中国や武漢という名称をつけて呼んではならないとする主張が日本の一部でも見聞される。


「川崎病」という名称を平然と使うNHKでも日本文学研究のアメリカ人、ロバート・キャンベル氏を別な番組に登場させ、同氏の「『中国ウイルス』『武漢ウイルス』という人は民族差別であり、世界の分極化を先鋭にさせている」という趣旨の意見を紹介していた。


この点、アメリカではトランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官はあえて「武漢コロナウイルス」という名称を使うべきだと主張する。アメリカ連邦議会でも、大手メディアでも、「中国ウイルス」とか「武漢ウイルス」という名称を使うことは珍しくない。


その呼称を使う当事者たちはみな当然、「民族差別の意図などまったくない」と明言する。「中国」や「武漢」の名称は全世界に広がる新型コロナウイルスの本来の発生地やその発生から拡散への独特の経過を特徴づけるうえで必要だというわけだ。


さあ、「川崎」はいいけれど、「武漢」はよくないのはなぜなのか。納得のできる答えを得たいところである。


トップ写真:コロナウイルス 出典:Flickr; 葉 正道 Ben(busy)


 


【追記致しました】2020年5月7日


本記事(初掲載日2020年5月6日)の本文中、一部追記致しました。


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