米「脱中国」新型コロナで加速
Japan In-depth / 2020年5月8日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・感染拡大は中国という国家の特殊性がもたらした人類の悲劇。
・アメリカは脱中国を加速。被害国の中国見る目も根幹部分で変化。
・コロナ大感染は、政治・外交安保の領域にも切迫した課題を生む。
日本を、そして世界全体を危機へと追い込む中国発の新型コロナウイルス感染をどう考えるべきか。私はこの大事件が少なくとも二つの異なる課題を突きつけていると思う。
第一の課題は当然ながらウイルス感染の防止である。
コロナウイルスの大感染という事件は表面だけみれば、あくまで人間とウイルスの戦いである。恐ろしい伝染性のウイルスをどう止めるか、が最大の課題となる。人間の命をどう救うか、である。
そのために国家はどうするべきか、国民はどうするべきか、緊急な対策を進めねばならない。この課題にはいまどの諸国も必死で取り組んでいる。
第二の課題は中国への対応である。
今回の感染は中国から起きた。その中国の特異な対応こそが感染をグローバルに広げた。
だから自国のこんごの対外的なあり方を考えるとき、中国にどう対処するかが課題となる。こんごの世界とか、国際秩序を考えるとき、どうしても中華人民共和国という特殊な国家の存在にぶつかるわけだ。
その中国に対する世界各国の態度はどうなるのか。
この課題は日本のいまの国政レベルでの議論ではふしぎなほど言及されていない。
以上の二つの課題がたがいに密接かつ複雑にからみあっていることは当然である。
私は以上の二つの課題などについて「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」(ビジネス社刊)という新著のなかで詳述した。だがここでは第二の中国という課題について論考したい。
▲写真 中国・習近平国家主席(2020年5月6日 北京)出典:中国政府ホームページ
このウイルス大感染が一段落した時点で世界での中国はどんな立場におかれるだろうか。
世界各国は中国をどうみるだろうか。
今回の事件は中国という国家の特殊性がもたらした人類の悲劇だともいえる。繰り返すが、コロナウイルスは中国で発生し、全世界へ広がっていったからだ。
だからアメリカなどの諸国では自国内のウイルス感染への防疫に全力を尽くしながらも、中国との過去、現在、未来にわたる関係に言及しながらの議論が続く。
どうみても、いまのアメリカにとっても、日本にとっても、国家の根幹にツメとキバをくいこませるコロナウイルスは中国という国からやってきたのである。この国難の原因は中国から飛来したウイルスなのだ。その意味だけでもこの大感染は世界の各国にとって中国に対する認識に大きな変化をもたらすことになるだろう。
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