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コロナ対策に「保証金」見直しを

Japan In-depth / 2020年5月9日 18時0分

しかもそうするためには、裁判所の命令が必要だ。強制執行が可能になったとしても、その費用は大家持ちだ。しかも、排除した商品などは倉庫を借りて保管しなければならない。これまたカネがかかる。行政はなにもやってくれないし、時間と費用だけは膨大にかかる。筆者はテナントが銃刀法違反で逮捕され、次のテナントが入るまで2年以上かかったケースを知っている。つまり店舗経営は大家にとってはリスクが大きいビジネスなのだ。


テナントにとってもリスクが大きい。保証金は銀行など第三者に預けられる供託金ではなく、大家が直接管理している。このため大家が倒産や破綻したり、供託金を使い込んだりした場合、返って来ない恐れが高い。裁判を起こしてもこれまた多額の費用と時間がかかるし、有利な判決が出ても、相手が金融機関の口座を移してしまえば、差し押さえが出来ない。相手の口座情報は原告が特定しなければならない。


つまり、現在の商業賃貸契約は大家、テナント双方にとってリスクと負担が大きい。筆者は少なくとも先進国で、このような「無法」が放置されている国を知らない。


きちんと当局がテナントの不払いや夜逃げを排除し、保証金を供託金として金融機関があずかることができれば、テナントの運転資金は増えて、今回のコロナに際しても生き残るための原資となるだろう。


これを実現するのに費用はかからない。解決法としては、まず、不良テナントに対して裁判所が迅速に判決や退去命令を出し、警察や自治体など公的機関が実力を持って排除できるような制度にすればよい。法執行に至るまでの大家の経済的負担を最小限に留めるべきだ。


その上で、保証金は信託銀行などに供託金として預けることにして、大家が勝手に流用できないようにすべきだ。こうすれば大家の負うリスクを代替する保証金は数カ月分で済むだろう。別に難しいことではない。法治国家としてやるべきことをやればいいだけだ


法律を書き換え、それを当局が迅速に執行するだけだ。それだけで少なく見ても数兆円、多ければ10兆円単位に達する融資に匹敵する経済効果がほぼコストゼロで実現できる。


例えば、家賃50万円で、保証金が20ヶ月、1千万円の飲食店だとしよう。この保証金を2ヶ月にすれば100万円だ。すると900万円の資金がテナントに戻ってくる。仮に毎月の売上が400万円で、人件費やあれこれ経費が300万円だとしよう。完全に休業すれば約3割の食材費はかからないので、120万円マイナスだから180万円。デイタイムだけの営業であればその半分の60万円として経費は240万円だ。そうであれば4~5ヶ月は運転資金が持つことになる。


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