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コロナ報道とメディアの課題

Japan In-depth / 2020年5月12日 13時28分

たしかに、感染していると知りながら他人と濃厚接触していたことは問題だが、その人間をバッシングするだけでは何も解決しない。同じような行動をとる人はまた出てくるだろう。目に見えない恐怖は社会を混乱に陥れる。不要な対立や差別、分断などを生む。それを防ぐためには、正しい知識を広めるしかない。メディアはその役割を担っている。


 


■ 安易な報道


本来、ジャーナリズムにセンセーショナリズムの側面があることは否定しない。読んで(もしくは見て)くれなけば、そもそも商業的ジャーナリズムは成立しない。人目を引く見出しが当たり前のように付けられているのはもちろんその為だ。


「権力の監視」がジャーナリズムの重要な役割であることは論をまたない。しかし、反対の為の反対では、もはや一般市民の支持を得ることは難しくなっている。


その最大の理由が、SNSの普及だろう。60歳以上の新聞購読者層は別にして、それ以下の年齢層では情報をSNSで知る方が早い。テレビも即時性と映像が持つ臨場感で活字に対して優位性があったが、即時性ではSNSに勝てず、ネット接続スピードの高速化により、誰もが中継や動画配信が可能になったせいで、映像における優位性も消えた。


なにより、市民が多様な意見をSNSで知ることができるようになったことが大きい。かつ、彼らは自分の意見を発信する術も手にした。市民一人一人がメディア化したのだ。



▲写真 イメージ 出典:pixabay


その結果、人々が既存のメディアを見る目は厳しくなった。報道の内容をうのみにせず、市民がチェックするようになったのだ。


これは既存メディアにとって本来、良い事であり、彼ら自身が変革するチャンスだったのだが、この10数年、それに気づかず、変化に対応できなかった。その結果、既存メディアは、熊谷氏が指摘したように「安易な報道」をつづけている、と市民・社会から見られてしまっている。


 


■ 建設的ジャーナリズム


こうした状況を打破する動きは既存メディアの中にはないのか?萌芽はある。ニュースを一面的に報道するのではなく、多面的に報道し、社会の問題・課題を解決するための方策などを提言する、いわゆる「建設的ジャーナリズム」を模索している若手ジャーナリストが出始めた。彼らは、メディア横断的にテーマごとに議論を重ねている。その活動と成果に期待したい。


政権批判を繰り返し、対案を出さない野党の姿勢にうんざりしている人は多いだろう。メディアも同じだ。一方的な政権批判だけでは市民はもはやついて来ない。


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