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挑発する北朝鮮と米軍の動き

Japan In-depth / 2020年5月13日 9時8分

ポンペオ米国務長官は、今回の事件について「偶発的だと思う」とコメントしたが、この発言には、緊張を高めないための政治的意図が含まれていると思われる。



▲写真 非武装地帯(DMZ)を警備する北朝鮮軍 出典:パブリックドメイン


 


■  北朝鮮人民武力省報道官が韓国非難の談話


北朝鮮は、韓国軍監視哨所に対する銃撃を謝罪するどころか、その後韓国側に対する非難を強めている。北朝鮮人民武力省報道官は5月8日、「労働新聞」などを通じて発表した談話で、韓国の空軍と海軍が5月6日に実施した西北(ソブク)島訓練に対して、「全民族の前で約束した(南北)軍事合意に対する全面的な逆行であり、露骨な背信行為だ」として、「軍事対決の極致」と非難した。


また、「全てが2018年の(南北)首脳会談前の原点に戻りつつある」とし、「必要な対応をしなければならない状況だ」と脅迫した。人民武力省報道官のこうした談話が発表されたのは、2013年3月以来のことである。


ここで注目すべきは、対外用メディアである朝鮮中央通信ではなく、朝鮮労働党の意思伝達機関である労働新聞に報道させたということだ。


 


■  米国防長官発言と米軍の動き


こうした北朝鮮の動きに対して、金正恩身辺異常情報を収集してきた米軍は、このところ慌ただしい動きを見せている。


エスパー米国防長官は5月4日、米国ブルッキングス研究所が主催した会議に出席し、「現在、在韓米軍兵力は良好な状態で、軍事的準備態勢を維持しながら、敵の悪い行動を抑止している」と明らかにした。そして「韓半島に必要なら、今夜にでも戦う準備態勢を維持している」と語った。


この言葉を裏付けるように、米軍は新型コロナウィルス感染で機能不全に陥っていた原子力空母を再整備し、東アジアに再び兵力を集結し始めている。


韓国のシン・インギュン国防TV(ユーチューブチャンネル)によると、原子力空母と海兵隊を載せた強襲揚陸艦合わせて6隻が朝鮮半島周辺に集結中だという。


すでに武器弾薬を搭載した事前配置船4隻が、韓国鎮海(チネ)軍港とその近海に停泊中で、この内の2隻は空軍弾薬船で、あとの2隻は機甲部隊車両輸送船だ。


また新型コロナウィルス感染で機能不全に陥っていた原子力空母打撃群も再稼働に入ったようだ。横須賀を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンが5月5日に出港し、横須賀沖合で戦闘機離着陸訓練を開始しており、イージス護衛艦も待機中にある。訓練が終われば間もなく戦闘船団を組んで行動を開始するようだ。そのために2日後の7日には、貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード」が海上でロナルド・レーガンに横付けして武器補給作業を行った。


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