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中国漁船、死亡船員を水葬に

Japan In-depth / 2020年5月14日 18時0分

中国漁船、死亡船員を水葬に


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」


【まとめ】


・中国漁船が航海中に死亡したインドネシア船員を海に〝投棄〟。


・過酷労働も判明。「土葬」が原則のイスラム教徒の反発も。


・インドネシア国内で中国に反発強まり、両国関係に影響か。


 


太平洋上で操業していた中国漁船に乗り込んでいたインドネシア人船員が1日18時間労働を強制されたほか、海水をろ過した水を飲まされ不衛生な食事をとらされた上、体調を崩して船上で死亡した場合、契約に反して遺体を海中に投棄する「水葬」にされていたことが明らかになり、インドネシア政府が中国に真相解明を求めるとともに、中国漁船の非人道的処遇が大きな問題となっている。


これは4月27日に韓国・釜山漁港に寄港した中国漁船3隻に契約船員として乗り組んでいた18人のインドネシア人が約1年2カ月にわたる長期航海中に密かに撮影した病気で死亡した仲間のインドネシア人船員の遺体を海中に投棄する様子が人権団体を通じて韓国の文化放送(MBC)で5月6日に放映されたことで中国漁船の非人道的処遇が明るみになった。


その後インターネット上の動画サイトなどに拡散した映像によると、死亡したインドネシア人の遺体が入っているとみられるオレンジ色の袋が甲板に置かれ、中国人船員とみられる男性が袋に液体を注ぎ、線香を手向けて頭を数回下げた後、仲間の半ズボン姿の中国人船員とともに袋が舷側から海中に投棄される様子が記録されている。


2019年に2月14日に釜山港を出港した中国船団3隻は共に太平洋のサモア諸島周辺海域で操業し4月27日に釜山に帰港していた。釜山でMBCや人権団体に対して残っていたインドネシア人船員が証言したところによると「中国漁船では1日18時間労働を強いられ、酷い時は30時間連続で働かされた」「食事は6時間ごとに10~15分で、この時だけ座ることが許された」「中国人は持ち込んだ瓶詰の真水を飲んでいたがインドネシア人は海水をろ過したものを飲料水としていたが、最近3カ月はろ過機が故障し、海水を飲まされた」「不衛生な食事、海水飲料、過剰労働で体調を壊す仲間が相次いだ」などと過酷な労働環境を告白している。


こうした酷い実態を暴露するきっかけとなった動画は今年3月30日、航海中に死亡したインドネシア人船員アリ氏(24)の「水葬」の様子を記録したもので、これ以前の2019年12月に死亡したインドネシア人船員アルファタ氏(19)とセプリ氏(24)も同じように遺体は海中投棄されたという。


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