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洋画では描けない世界がある(上) 家にいるなら邦画を見よう 5

Japan In-depth / 2020年5月15日 12時0分

前者は禅寺、後者は相撲(と言っても、大学相撲部だが)が題材で、まごうかたなき日本の伝統文化だが、それをコメディタッチで仕上げてみせたところがすごい。別の言い方をすれば、これは邦画でなければ描けない世界だなと、なにやら嬉しくなってしまったのだ。


もちろんコメディ映画だから、相撲の対抗戦など、往年のドリフターズのギャグみたいなシーンが続出する。もっとも、正規の部員だけでは出場人数を満たすことができず、アメフト部から助っ人を呼んできたりすることは、実際にあるようだ。



▲写真 周防正行監督(2019年10月)出典: flickr; Dick Thomas Johnson


監督自身、たまたまアマチュア相撲の大会を見学して、昨日今日マワシ(映画では、複数回フンドシと呼ばれていた笑)の締め方を覚えたような人までが国技館の土俵に上がっていることに驚かされ、この映画の着想を得たと語っている。


個人的には、廻しの下にパンツをはいたり、行事が蝶ネクタイ姿だったりするのは許しがたいのだが、このことは前にも書いたのでしつこく繰り返すつもりはない。国技だと称するならば、たとえアマチュアでも、伝統的な様式美には厳格であるべきだ、とだけ、ここでは述べさせていただこう。


話を戻して、周防監督の名が、一躍世界にとどろくこととなったのは、この2作の後で公開された『Shall we ダンス?』(1996年)である。ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞はじめ、ロンドン、シカゴ、ラスベガスなどの映画批評家協会賞・外国語映画賞を総なめにした。



▲写真 映画「Shall we ダンス?」の主役、役所広司(左)とハリウッドのリメイク版「Shall We Dance ?」で主役のリチャード・ギア(右)出典:役所広司;Dick Thomas Johnson、リチャード・ギア; John Mathew Smith & ww...


2004年には、ハリウッドでリメイクされて、リチャード・ギアが主演した。意外にも原作に忠実に作られていたが、むしろ、ストーリーの全体を通じて「これじゃない感」を抱かざるを得なかった。


というのは……いや、あくまで個人的な感想だと明記しておくが、原作を見て、もっとも強く印象づけられたのは、


「日本人の社交ダンスなんて、笑っちゃいますよねえ」


という台詞が繰り返し出てきたことであったからだ。「欧米か!」というギャグが流行ったのは、もう少し後になってからの話だが、日本人、それも普通のサラリーマンや主婦が社交ダンスにはまったとなると、周囲から違和感を持たれてしまうのだ。


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