比でイスラム行事狙ったテロ
Japan In-depth / 2020年5月27日 18時0分
■ 過去に襲撃された元ジャーナリスト死亡
また25日午前には同じミンダナオ島南部のバンサモロ自治地域にあるコタバト州の州都コタバト市内の食堂で朝食をとっていたアニセト・ラサラン氏(58)が正体不明の2人組に襲われ、うち1人から銃撃を受け、収容先の病院で死亡が確認された。アニセト氏は「マニラ・タイムズ」の元記者としてコタバトで取材活動をしていた2015年にも同じようにバイクの男から銃撃を受けたがこの時は致命傷とならず、その後コタバト市長の秘書として活動中だったという。アニセト氏銃撃もBIFFによる犯行との見方が有力視されている。
イスラム教の重要行事のタイミングでイスラム教徒をイスラム組織が攻撃、襲撃したことについて地元のバンサロモ自治区統治に関わっている「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」の元幹部は「MILFが2014年にフィリピン政府との間で和平合意したことに反発して分離、武装闘争路線を継承したのがBIFFであることからMILFに属するイスラム教徒などもBIFFにとっては攻撃目標、テロの標的なのである」と説明している。
■ 「アブサヤフ」とも関係してテロ実行
BIFFは中東のテロ組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓う組織とされ、実際にISの東南アジアでのネットワークとも密接に関係があり、2017年5月のミンダナオ島バンサロモ自治地域の南ラナオ州マラウィ市がイスラム教組織に武装占拠された事件にも関わっていた。
同年10月にマラウィ市が国軍の軍事作戦で武力解放された後も、ミンダナオ島やスールー諸島などに残党が逃走して、同じくMILFから分離したテロ組織「アブサヤフ」などと連携してテロや襲撃事件を起こしている。
▲写真 投降したBIFFメンバーから押収した武器(2020年4月29日) 出典:GOV.PH
さらに一部のメンバーがマニラ首都圏に潜伏しているとの情報や南部フィリピンから海路マレーシアやインドネシアに脱出してインドネシアのイスラム教テロ組織「東部インドネシアのムジャヒディン(MIT)」と合体して再興の機を伺っているとの分析もある。
■ ドゥテルテ政権の頭痛の種
感染者数が5月24日時点で1万4000人を超え、感染死者も1400人以上となっているフィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国内では感染死者数ではインドネシアに次いで2番目の多さとなっている。
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