「元気なバカ」を見習っては? 家にいるなら邦画を見よう 最終回
Japan In-depth / 2020年6月2日 18時0分
などという非常識な価値観であり、無法な暴力沙汰、しょうもない近所迷惑の連続である。けれども、そこに陰湿さはない、という点だけは、救われると言ってよいのではないだろうか。
どうして唐突にこのようなことを言い出したかは、読者ご賢察の通りで、女子プロレスラーの木村花さんが、SNSで執拗な誹謗中傷を受け、それが原因と思われる自殺に追い込まれたからである。これが、こうした映画を薦める、もうひとつの理由だ。
元KARAのク・ハラさんが同様の最期を遂げた際は,、私自身の経験も踏まえて、世にいうネットいじめの陰湿さを糾弾する記事を書かせていただいた。
▲写真 木村花さん(左)とク・ハラさん(右)出典: Yoccy441(木村花さん) / HeyDay(ク・ハラさん)
今次の木村花さんの件については、安倍宏行編集長が、有名人に対する嫉妬が根底にあるのではないか、との見解を開陳し、在米ジャーナリストの岩田太郎氏は、SNSを悪者にすることの危険性を指摘している。
お二方の論評を支持するものだが、さらに申すなら、新型コロナ禍によって引き起こされた社会不安と「自粛」によって蔓延した閉塞感にも、一因を求めることができるのではないだろうか。
SNSそれ自体が悪いわけでは決してない、という点では、お二方とまったく同意見だ。
1923年の関東大震災の直後、様々な流言飛語があったと記録されているが、中でも、
「朝鮮人があちこちで暴動を起こしている」
というデマは、深刻な被害をもたらした。パニックの真っただ中にいた人々は「自警団」を組織し、朝鮮人にリンチを加えるなどしたのである。この結果、何の罪もない人々が6000人も犠牲になった。当時、SNSなどあったのか。
2011年の東日本大震災の直後にも、
「中国人窃盗団が被災地を荒らしている。石巻では警官が刺された」
というデマが広まったが、この時は宮城県警本部が、打てば響くように、
「そのような事実はない」
と配信したことにより、大きなトラブルには発展しなかった。多くの人が同時に情報を共有できるネット社会は、諸刃の剣なのである。
ク・ハラさんや木村花さんの一体何が気にらなかったのか知らぬが(私も『テラスハウス』などという番組は見たことがないので、詳細はよく知らない)、匿名での誹謗中傷でうっぷん晴らしをしたとすれば、それはデマを拡散させるのと同様の行為でしかない。
つまらないこにエネルギーを使わず、ツッパリ中高生の派手な喧嘩を見て、元気をもらうことをお勧めする。ただし、くどいようだが、よい子は真似してはいけません。
トップ写真:暴走族の服装(特攻服)イメージ(コスプレ) 出典:Mike
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