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中国海軍力は米海軍力超えず

Japan In-depth / 2020年6月3日 7時0分


▲写真 054A型の益陽艦。なによりの問題は15年間に32隻作った054/A型である。つまり退役時期においては15年に32隻以上を建造してようやく増勢となる。しかも更新艦は高級化するため054/A型よりも高額となる。米海軍写真(撮影:Aaron Chase)


 


■ 海軍戦略の変化


第2は海軍戦略の変化である。両国はマハン戦略とコーベット戦略を入れ替える。ちなみに前者は制海権獲得の重視、後者は獲得した制海権利用の重視である。


中国はこれまでマハン戦略をとってきた。中国周辺から米海軍を排除する。中国が制海権を確保する。その目的のため海軍建設に努力してきた。


それが今後はコーベット戦略に転換する。制海権確保は一定の成果を収めたからだ。今後は制海権の活用、陸上への力の投射も重視されるようになる。


強襲揚陸艦の建造はその濫觴である。南シナ海で獲得した制海権を利用する。そのために上陸戦機能整備である。


この戦略転換の結果、何が起きるか?


正面戦力の成長が鈍化する。中国海軍は例示した強襲揚陸艦ほかに力を削がれる。その分、空母、潜水艦、駆逐艦の建造数は減少するのだ。


米国はこの逆となる。コーベット戦略からマハン戦略に転換する。


これまで米海軍は制海権確保に自信を持っていた。世界一強の海軍だからだ。


だからコーベット的な制海権の利用を重視していた。制海権獲得への今以上の投資は無意味である。それより陸上への力の投射が重要である。そう考えたためだ。(*2)


だが、中国海軍力の成長により状況は変わった。「中国海軍の成長により制海権確保は危うくなった」のだ。この問題意識によりマハン戦略への回帰が始められたのである。


それが現今の355隻海軍構想である。制海権確保のため潜水艦や駆逐艦の増強についに着手したのだ。


米中海軍力の今後についてはこの戦略転換の影響も受ける。コーベット戦略への転換により中国の軍艦建造数は今後減少する。マハン戦略への回帰により米国の軍艦建造数は今後増加するからだ。



▲写真 水上艦整備の迷走:水上艦整備の迷走も米艦隊戦力が縮小した原因である。これもコーベット的戦略への傾倒が生んだ影響である。そのためのズムウォルト級やLCSもいずれも構想倒れで使い物とならずしかも制海権確保の役にも立たない。写真は不良資産USSズムウォルト。米海軍写真(撮影:Charles Oki)


 


■ 分布式殺傷


第3がDL、分布式殺傷の導入である。これは米海軍の正面戦力を短期間で増加させる。また同時に中国旧式艦を戦力外にする効果も持つ。


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