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中国海軍力は米海軍力超えず

Japan In-depth / 2020年6月3日 7時0分

米海軍にはDL:ディストリビューテッド・リーサリティと称する構想がある。これは戦闘用、非戦闘用を問わず全ての艦艇に各種の攻撃力を与える内容だ。漢訳では「分布式殺傷」とされる。(*3,*4)



▲写真 分布式殺傷は米海:分布式殺傷は米海軍力を回復する妙案である。特にサン・アントニオ級揚陸艦は強力な戦力を持つ。準軍艦として攻撃的任務にも使える上、大遠距離での長期活動にも向き哨戒ヘリの多数搭載も可能である。写真は同級のUSSニュー・オルレアン。米海軍写真(撮影:Jason Isaacs)


その適用範囲には揚陸艦や補給艦も含まれている。そのような非交戦用の支援艦船にまで強力な武装を施すのである。


その結果、支援艦船を駆逐艦やフリゲートに準じた戦力にできる。


特に揚陸艦は攻撃にも使える準軍艦となる。サン・アントニオ級に対艦ミサイルNSMを仮設搭載する。対空ミサイルESSMを復活装備する。搭載機を輸送ヘリから哨戒ヘリに変える。それだけで中国054A型護衛艦に相当する水上戦力となる。


それにより対中海軍力比も改善させる。


まずは米海軍の正面戦力を増加させる。仮にドック型揚陸艦の全数約20隻を軍艦兼用とするだけでも米正面戦力は1割増となる。


また中国旧式艦を戦力外に追いやる。054型以前の中国軍艦はそうなる。米揚陸艦に劣り米補給艦との戦いも怪しくなるからだ。


 


*1 感覚的にはその程度である。イージス以前の「はたかぜ」(1981年)建造費が600億円、「こんごう」(1988年)と「まや」(2015年)の建造費が1200億円と1700億円である。それぞれ052無印、052C、052D型の立場とみれば055型は3000億円程度だろう。


*2 90年代の「フロム・ザ・シー」以降の米海軍はコーベット的となった。装備面でも水上艦でのトマホーク搭載重視や母艦航空部隊のF-18E/F導入といったように沿岸・内陸攻撃を重視している。


*3 DLについて海自は「武器分散コンセプト」と呼ぶが適切ではない。その主張は分散ではなく普及にある。武器の偏在是正ではない。また分散搭載やネットワーク化でもない。強いて言えば「攻撃[武器の生産と]配給」である。


*4 この分布式殺傷の仔細は『軍事研究』の筆者記事で尽くしている。


文谷数重「米海軍の新構想『分布式殺傷』」『軍事研究』 54,9(2019.9)pp.66-77.


トップ写真:リムパックに参加する人民解放軍海軍の052C型西安艦。イージスに相当する中華神盾艦である。米海軍写真(撮影:Sun Hongjie)


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